2008年04月23日(水) 12時15分
ビクター家庭向けテレビから撤退 デジタルビデオカメラなどに集中?(J-CASTニュース)
日本ビクターが2008年夏をめどに、国内の家庭用テレビ事業から撤退する方針を固めた。音響・映像の老舗ともされるビクターが国内テレビ市場から退場を余儀なくされる背景には、薄型テレビを巡る開発・販売競争の激化がある。
■薄型テレビ市場で黒字確保はシャープ、松下の2社
ビクターは1927年に、「日本ビクター蓄音機」として設立。ブラウン管テレビでは業界をリードする存在で、技術力には定評があった。しかし、テレビの売り上げは年々減り、ブラウン管テレビに代わって2000年代前半から普及し始めた薄型テレビでも苦戦を強いられた。ビクターの薄型テレビの国内シェアでは6位だが、2007年の国内出荷台数のシェアはわずか2.9%に過ぎない。液晶テレビの新商品発売の遅れなどが響き、08年3月期連結決算では478億円の最終(当期)赤字に陥る見通しになっている。
国内の薄型テレビ市場では、大手電機メーカーをはじめ約10社による過当競争が展開されている。価格の引き下げ競争は激しさを増しており、同事業で黒字を確保しているのはシャープ、松下電器産業のわずか2社だけに過ぎない。
各メーカーは現在、液晶やプラズマテレビにとどまらず、高画質を実現する有機EL(エレクトロルミネッセンス)やSED(表面電界ディスプレー)などの次世代テレビの開発に力を入れている。ソフト開発に費やす巨額なコスト負担に耐えることができ、量を売る強力な販売力がなければ、メーカー の生き残りは難しいのが実情だ。
■今後も合従連衡や事業再編の動きが加速する可能性
こうした中、事業見直しに動く企業が続出している。3月にはパイオニアがプラズマパネルの生産から撤退すると発表。メーカー各社はパネル生産での提携を急速に進めている。音響や映像の名門ともてはやされたビクターさえ白旗を振って市場から退場することで、今後もさらなる合従連衡や事業再編の動きが加速する可能性は高い。特に、シェアが中位以下で、十分な資金力や販売力をもたないメーカーは厳しい決断を迫られる局面があり得る。
ビクターは早ければ2008年秋にも、ケンウッドと経営統合をする計画だ。不採算事業である液晶テレビ事業から撤退することで体を身軽にし、好調なデジタルビデオカメラ事業などに集中する態勢を整備する必要があったとの見方が強い。実際に、ビクターの国内家庭用テレビ事業からの撤退が伝わった16日、東京株式市場では同社株終値が前日終値比24円高の231円と急伸した。新たな道を選んだビクターの真価が問われるのはこれからだが、老舗や名門というかつての栄光にとらわれない姿は、市場でも、ひとまず好意的に受け止められた。
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