農林水産省と厚生労働省は23日、米国から輸入された牛肉の中に、牛海綿状脳症(BSE)の原因物質がたまりやすく輸入が認められていない特定危険部位の脊柱が見つかったと発表した。大手牛丼チェーン「吉野家」の埼玉県の加工工場で発見された。特定危険部位の発見は2006年夏の輸入再開後、初めて。米国のずさんな検査体制が発覚したことで、米国が日本に要求した輸入条件緩和に向けての交渉にも影響を与えそうだ。
農水省と厚労省は、出荷したナショナルビーフ社カリフォルニア工場(カリフォルニア州)からの輸入を停止するとともに、米国に対し原因究明などを要請。すべての米国産牛肉に対し輸入時の抽出検査を厳しくする方針を決めた。
農水省によると、同危険部位は吉野家の検品作業で発見された。伊藤忠商事が輸入、07年8月に東京港へ到着し吉野家へ転売された米国産ばら肉700箱(約17トン)のうち、衛生証明書に記載がない脊柱が入った1箱が見つかった。
日本は現在、脳や脊柱など特定危険部位を除去した生後20カ月以下の牛に限り、米国産牛肉の輸入を認めている。
(共同)