2008年04月22日(火) 12時47分
<光母子殺害>「世論の逆風」と闘い…弁護団(毎日新聞)
「(どんな判決でも)受け止めます。自分が公判で言ったように一生謝罪し続けます」
判決前日の21日、広島拘置所で接見した弁護士に、元少年は落ち着いた様子で語った。「これからも君を弁護するから」。弁護士はアクリルガラスの向こうの目を見つめた。
1、2審では殺意や強姦(ごうかん)目的を認めた元少年。現在の弁護団メンバーが初めて接見したのは、最高裁での弁論期日が迫る06年2月27日だった。当初は「思い出したくない」と口をつぐんだ元少年も、少しずつ内心を語り、起訴事実を否定。弁護団は「事実認定が違う」と確信した。
だが、逆風はかつてない高まりを見せた。「(長女夕夏ちゃんの)遺体を押し入れに入れたのは、ドラえもんが何とかしてくれると思ったから」「生き返ってほしくて精子を入れる復活の儀式をした」などの主張は、猛反発を呼んだ。
橋下徹弁護士(現・大阪府知事)がテレビで呼びかけたのをきっかけに、所属弁護士会には計8000件以上の懲戒請求が殺到。事務所には脅迫状はおろか銃弾まで送りつけられ、21人の弁護団は法廷に加え“世論”との闘いも強いられた。
昨年10月までメンバーだった弁護士は「みんなぴりぴりして精神的にかなり張りつめていた。夜道を1人で歩くのも怖いほどだった」と振り返る。それでも弁護団は「元少年には、きちんとした弁護を受ける権利がある」とひるまなかった。
「(以前の元少年は)自分のことばかり考えていたが、今は『自分がどれだけ遺族を傷つけているかわきまえた上で、生きていきたい』と思うまでに成長した。彼の決意が伝わる日が来るはず」と主任弁護人の安田好弘弁護士。別の弁護人は「意見が割れても、一つの方向に行った。こういう弁護団であることを誇りに思う」と胸を張った。【大沢瑞季】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080422-00000041-mai-soci