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2008年04月22日(火) 12時03分

きれいなお姉さまに舌打ちをされたオーマイニュース

 先週、通勤していたときのことです。私は新宿で小田急線から山手線に乗り換えます。山手線に乗り込んで立って小説を読んでいたのですが、後からキャリーカートを引っ張りながら乗り込んできた若い女性がいました。その際、キャスターが私の靴の上に乗り上げ、カートはバランスを崩してこけそうになりました。彼女は「チッ」と舌打ちをし、カートを立て直して奥へ入って行きました。

 「そこは謝るところだろう。何で舌打ちされなきゃならないんだ!?」

 そして別の日の話ですが、新宿の連絡通路で若いOL風の女性とぶつかりました。その女性は進行方向に私を認識した途端、目をあらぬ方向へそらし、そのまま歩いてきました。これは、昨今の歩行マナー悪化の代表的な行為です。

 つまり、前方に気がつかない風に装い、「あんたが避けなさいよ」と言っているのです。オバチャンが自転車で路地から出てきる際に、右を見ないで車道にとびだして来るときと同じ心理です。つまり、右を見て、もし車が来ていたら止まらないといけないので、私は認識してないから車が避けなさいよと言う意識で飛び出すのと同じです。

 わたしは愉快ではないものの、毎日の慣れたやり取りですので、進路を多少変えて彼女に王道を確保してあげました。ところがすれ違う直前になって彼女は急に進路を変えたのです。そしてぶつかってしまいました。彼女は私をにらみ付け、「チッ」っと舌打ちをしてから去って行きました。

 この10年ほどの間に舌打ちをする若者が増えていることは感じていましたが、これは男の世界での話でした。ところがこのところ女性の舌打ちも多くなっています。私の生活圏は関東ですので都市部に限られたことであり、地方へは波及していないことを願うばかりです。

 舌打ちは、「おれ(もしくは私)は不愉快なのだ」という意思表示です。当然舌打ちをされた人にも言い分があると思いますが、反撃があれば、舌打ちをした人間には逃げ道があります。「あなたの錯覚でしょう。わたしはしていない」もしくは「あなたに対して舌打ちをしたわけではない」と。

 以前は、舌打ちをするとことはけんかを売るという行為に等しいものでした。舌打ちをする方は、舌打ちをされる側がいかに不愉快かを知っていたからです。

 「チッ」「おい、なにか文句があるのか」。このようなやり取りになりがちだったのです。

 昨今、公衆の面前で暴力を振るえば、理由の如何にかかわらず、暴力を振るったほうが裁かれます。そのせいか、舌打ちをしても自分に対しての反撃はないと高を括る時代になったのかも知れません。この現象は私から見ればまだ男性の世界の話だったのですが、このところ元来優しく大人しかった若い女性の間に、気の強い人を多く見かけるようになって来ました。男性は、下手に女性を怒らせて、「この人痴漢です」などと、冤罪を仕立てられるのも怖いといった時代になりました。

 まあ理由はどうであれ舌打ちはいただけません。状況を理解し、どちらが被害者かぐらいは判断してから舌打ちをするかどうかを判断していただきたい。

 通勤に疲れてくたびれたおじさんとしては、強くお願いする次第なのであります。

(記者:大村 賢三)

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