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2008年04月20日(日) 21時16分

団塊大量退職に悩む紳士服業界 「おしゃれ」スーツで巻き返しJ-CASTニュース

 団塊世代の大量退職で紳士服のマーケットが急速にしぼんでいる。大手紳士服メーカーでは近年、団塊ジュニア世代をターゲットに「おしゃれ」で高額なスーツを販売し、巻き返しを図る動きが出てきた。

■丸井とオンリー「多くの若者を取り込みたい」で一致

 小売り業の丸井グループは、紳士服の製造・小売りで、大阪証券取引所のヘラクレスに上場するオンリー(京都市)と資本・業務提携すると、2008年4月15日に発表した。丸井は、低価格スーツからオリジナルブランドまで幅広い支持を得て、若者に強いオンリーをテナントに迎え、集客面などの相乗効果を期待する。

 オンリーは低価格の「ザ・スーパースーツストア」と、オリジナルブランドでテーラーメイド(注文服)の「インヘイル・エクスヘイル」を扱う店舗、イタリアからの輸入品で1着50万円超はする高級紳士服のブランド「タイ・ユア・タイ」などを扱うアウトレット型ショップの、価格帯の違う3タイプの店舗を全国60か所に展開している。

 丸井との提携について「当社は20歳代、30歳代をメインターゲットにしており、丸井の若い顧客層とマッチしている。丸井に出店することで、東京などでさらに売り場を確保したい」と説明する。大手紳士服専門店の店舗網が郊外型中心なのに対して、「都市型店舗の展開」で他社と差別化する狙いもある。販売する商品については「現在検討中だが、主力は2万〜3万円前後のビジネススーツになる」という。

 一方の丸井は、自社ブランドをオンリーの店舗で売ってもらう。「丸井ブランド」の紳士服は、オンリーが「ザ・スーパースーツストア」で扱う低価格のビジネススーツより1万〜3万円ほど高いので、商品の相互補完が見込めるとしている。

■トータル・ファッションを提案できる店づくりをめざす

 いま、百貨店の多くの紳士服売り場は閑古鳥が鳴いている。百貨店で取り扱うスーツの主流は5万円以上と、「実用品」としてのスーツを求める若いサラリーマンや「就活」中の学生には、ちょっと手が出づらい。百貨店にとっては、客足が遠のいて売り場が縮小され、品揃えも限られてくる。そしてお客が専門店に流れるという悪循環だ。

 オンリーは「最近は低価格のスーツも苦戦。しかし、だからといって5万、7万、10万円以上する高級紳士服がまったくダメかといえば、そうでもない」といい、2極化傾向にあると分析している。これまでのカッチリとしたビジネススーツは素材や着心地にこだわり、また10万円を超す価格帯のスーツにはカジュアルの要素を取り入れたデザインにするなど、「今後はスーツのファンション化が進む」と指摘する。

■8〜10万円台の売れ行きが30〜40歳代を中心に拡大

 大手紳士服チェーンも、高価格帯の商品に力を入れている。

 「AOKI」では、仏の映画スタージャン・レノをイメージしたブランドなど、4つの高級ラインを展開している。そのうちの2ラインは2〜3年前に登場した。

 「洋服の青山」は、08年4月現在、「おしゃれ」で「高品質」をキーワードとした2つの高級ラインを販売している。青山商事の広報担当者は、「8万円〜10万円台の商品の売れ行きが30〜40歳代を中心に拡大している」という。

 なかには海外の高級生地を使用しているのもあり、「百貨店では20万円以上で販売しているものを当社では10万円で提供している」。大手チェーンの強みである1着あたりの生産コストを抑えた量産体制を生かした結果だ。最近では、紳士服チェーン店でもおしゃれなスーツが買えると、20歳代の客も増えている。

 また、スーツの平均単価が上がり、さらにスーツにあわせたおしゃれなシャツやネクタイ、靴、カバンを販売して、客単価を上げるのに成功したのだという。


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