【青島=西村大輔、北京=峯村健司】チベット騒乱をきっかけに北京五輪の聖火リレーへの抗議活動がパリなどであったことに対し、中国各都市で19日、仏系スーパー「カルフール」や仏政府公館を標的にした抗議デモが起きた。参加者らは「カルフールは中国から出て行け」と叫んだ。中国での大規模な抗議デモは05年の反日デモ以来だ。
中国安徽省合肥で19日、仏系大手スーパー「カルフール」の前に止められたトラック=ロイター。抗議活動の一環とみられる
山東省青島では同日午前、カルフール名達店の前に約千人が集まった。国歌を歌い、「カルフールをボイコットしろ」などと叫んだ。警官に誘導され入店した客に「売国奴!」と罵声(ばせい)が浴びせられた。
中国では「カルフールの株主がダライ・ラマ14世に巨額資金を提供した」とする風評が広まっていた。デモに参加した30代の男性は「カルフールはチベット独立を支持している。聖火リレーはフランスで妨害が最もひどかった。彼らに中国人民の声を聞かせるべきだ」と話した。
店内は閑散としていた。女性店員は「普段の土日と比べ客は100分の1。ボイコットが続いたら大変」。
湖北省武漢でも同日、カルフール前に約1万人が集まり「祖国分裂には断固闘う」「仏製品の排斥」と書かれたプラカードを持って抗議した。中心メンバーの自営業の男性によると、参加予定は300人だったが、ネットですぐ情報が広がった。公安当局から「安全上の理由で許可できない」と告げられ、携帯メールで中止を知らせたが、止めることはできなかった。
安徽省合肥でも18日夜、数百人のデモがあり、参加した男子大学生によると、一部が店内でレジや商品カウンターを壊し、店員を殴るなどしたという。北京や重慶、西安などでもデモが起きた。
北京の仏大使館前では「チベットは中国固有の領土」と車体に書いた十数台の車が警笛を鳴らして通過。一時大使館前の道が封鎖された。
19日付の人民日報は「大国としての理性と知恵を見せよう」と冷静な対応を呼びかける論評記事を掲載。外交筋は「当局はある程度のデモは黙認しつつ、暴動に発展しないよう制御している」とみる。 アサヒ・コムトップへ
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