2008年04月18日(金) 17時58分
【法廷から】不倫の末に脅迫…悪いのは男か女か(産経新聞)
妻子ある男性と交際し、出産までした末に捨てられた女性(36)が、インターネットの「復讐(ふくしゅう)請負サイト」を使って男性の妻子を脅迫−。東京地裁で17日に開かれた初公判で、証言台に立った被告の女性は、背中を丸めて、伏し目がちに訥々(とつとつ)と犯行に至った経緯を語った。
被告が問われたのは脅迫などの罪。起訴状によると、被告は平成19年5月3日夜、東京都中野区の男性方に「身代わりになって責任を取ってもらう」などと書いた手紙を置いて、男性の妻子を脅迫した。
検察側の冒頭陳述などによると、地元の放送局に勤めていた被告は17年5月、単身赴任中だった男性と交際を始めた。男性には妻子がいることは知っていた。
被告は男性の子供を身ごもった。しかし、男性は18年夏、被告との結婚も、子供を認知することも拒否し、去っていった。翌19年1月、男性の子供を出産した。
被告が「復讐請負サイト」にアクセスし、男性への嫌がらせを依頼したのは18年夏だった。
グレーのセーターに黒のパンツ姿で、証言台の前に立った被告は、消え入るような声で弁護人の質問に答え始めた。
弁護人「当初、○○(復讐請負サイトで知り合った共犯者の男)に何を頼んだ?」
被告「彼と奥さんを別れさせるように頼んだ」
弁護人「離婚させて何がいい?」
被告「家庭とも私ともうまくやってほしかった」
被告が一線を越えたのは、男性の自宅にあった車がきっかけだったという。
弁護人「(犯行に及んだのには)どんな経緯があった?」
被告「『車が新車に変わっている』と報告を受けた。認知もせず養育費も払わないのに許せないと思った」
被告は、犯行前に逡巡(しゅんじゅん)したことを強調。それでも、男に脅迫状を男性の家に置くように依頼した。男が説得してきたためだという。
弁護人「何と言って説得された?」
被告「東京だったらこんな犯罪いつもある」
「共犯者のせいで犯行に及んだ」と言いたげな被告を検察官が一喝した。
検察官「○○を巻き込んだのはあなたと自覚してる?」
被告「はい」
検察官「(犯行は)あなたの選択の結果。どこか人のせいにして逃げていないか?」
被告「…」
検察側は「不貞行為をして謝罪する立場なのに、家庭を崩壊させる卑劣な犯行」として懲役1年6月を求刑。裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
最後に裁判官は被告に「本件の経緯には被告にも気の毒な面もあったと思うが、犯罪はいけないことと冷静に考えればわかるね。共犯者のせいだけにできないことを自覚してください。子供のことで法律上の手続きをするときは弁護士に頼んで、関係者との接触を避けてください」と説諭した。
法廷では、証拠採用された男性とその妻の供述調書が朗読された。男性の調書は「嫌がらせをされて、被告を許すことはできない。家族が恨まれる筋合いはない」とのもので、妊娠までさせた被告への配慮はかけらもない。
一方、男性の妻の調書は「母親として気持ちは分からないでもない。犯罪は残念。夫のだらしなさも原因なので更生してほしい」とのものだった。
被告側の立場に立つか、被害者側の立場に立つかで、この事件の見え方も違ってくるだろう。一つだけ確実に言えることがあるとしたら、生まれてきた子供には何の罪もない。被害者の男性は子を認知して、きっちり責任を果たし、被告は間違いを二度と犯さず、子供をしっかり育ててほしい。(末崎光喜)
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