2008年04月17日(木) 17時34分
福田さんの本音?人は指導力不足と言うが…(オーマイニュース)
ついに通信社の世論調査で、福田内閣支持率が危険水域と言われている30%を下回る26%に落ち込んだ。自民党では大半の派閥の支持を得て政権発足時は確か60%をこえていたはず。国民は何も分からず、ただ期待感から支持していたことになる。その理由は「指導力がない」、「経済政策に期待できない」が挙げられている。
森、小泉内閣で長く官房長官を歴任し、森さんの失言の尻ぬぐいで「弁解長官」と自嘲(じちょう)したり、小泉内閣では外務省をかき回す田中真紀子さんを差し置いて影の外務大臣と言われ、官僚主導政治の支持者でもあったように見えた。
私も福田さんのことをいろいろ書いて来たが、それでは一方的過ぎる。福田さんは総理の立場なので、本音を言うと国民やメディアにたたかれ、政治生命にもかかわることになるので、そこで福田さんの本音は何か考えてみた。
今の政治情勢は、年金問題やガソリン税など歴代自民党政権が引きずってきた問題であり、さらに小泉内閣での構造改革で顕在化してきた「ひずみ」「生活不安」、途中で放り出した安倍政権の「負」の部分など自分の政策上の責任とは言えない課題が山積し、局面の打開が不透明なのである。誰が政権を取っても国民の期待に応えるのはむずかしい局面である。
年金問題で、5000万人の「名寄せ」などを、「最後のひとりまで、最後の1円まで3月末までに終わらせる」という公約が果たされていないと、民主党が舛添さんの問責決議をちらつかせている。福田さんは「公約と言えるものか……」と発言してひんしゅくを買ったが安倍さんの発言は「私の内閣で」と誇張しています。
安倍さんは途中で政権を放り出したので、安倍さんの内閣ではできなかった。福田さんはこれに関してどうするか何も言っていない。ただ舛添さんが残留したので「上書き内閣」でもある。「生活に安心を」を掲げる福田さんにあっては、当然受け継がなければならない。
ガソリン税など暫定税率を含む税制改正法案は、今までもそうだったように惰性的に運用してきた。だから今回もうまくいくだろうと思って官僚のアドバイス通りに期限ぎりぎりの提案になったが、こんなに騒がれるとは予想もしなかった。
政局になることを回避すべく、民主党に「話し合い」をしたいと訴えたが、小沢さんは「暫定税率廃止」を掲げ応じてくれない。仕方なく、緊急記者会見で国民に「特定財源の09年度一般財源化」を訴えた。財務省からは2兆6000億円の財源をどうするんだと言われている。メディアや国民の道路財源のムダ使いに対する激烈な批判はよく分かる。
どんな無駄づかい、流用があるのか、役所に詳細な資料を出せと言うが、利権がらみでうまくいかない。ガソリン値下げはメディアが騒ぐほどの混乱はなかった思うが、再可決を狙っての4月末は大変な事態になることも考えられる。ガソリン値上げに対して国民がどう反応するか。場合によっては政権存続にかかわる事態になるとも思うが、救いは「日本人はおとなしくなった。政治に対して余り騒がない」ことだ。
福田さんは調整型の人間。すべて話し合いで解決できると信じている。アメリカにいい顔をしたいためのインド洋給油作業の継続を巡って、安倍さんも小沢さんに話し合いを申し込んだが、断られたことが政権放り出しの一因にもなったと言われている。福田さんも大連立構想で小沢さんに訴えたが、民主党は一枚岩でなく、小沢さんも党全体を把握できていなかったため、不発に終わった。
小沢さんも自民党出身、水と油の関係ではないと思っていたが、国会運営の手違いもありますます対立関係が顕著になってきた。福田さんの言う「話し合い」路線も今後どう通用するか分からなくなってきた。
閉塞(へいそく)した局面を打開するために内閣改造も考えられる。駒を動かしてみたが、なかなかうまくいかない。小泉さんには抵抗勢力、大臣になりたい病の人たちがいたが、福田さんには見方も友達もいないし、寿命の短い、求心力のなくなった福田さんでは大臣なりたい病の人もいない。
福田さんが「話し合い」路線に固執しているのは、面子丸つぶれの解散・総選挙をしたくないからです。
福田さんは演説も下手、パフォーマンスも苦手では、国民に訴える手段が何もない。万一解散、総選挙が実施されたとしても、すでに明らかなように惨敗は間違いない。どちらにせよ責任を取って退くしか道はないのだ。そこで、任期満了による通常選挙になるが、ここでも惨敗で悪口を言われて退くしかない。
どっちみち、福田政権の寿命は短い。それだけでなく、自民党が政権の座から降りなければならない事態になることも十分考えられる。衆議院で3分の2の議席を持つ自民党には民意が上がっていない。一度下野すると、官僚の呪縛(じゅばく)から解放され民意の把握が容易になる。
それを避けるために、何とか議連や勉強会などポスト福田をにらんだ動きが激しくなってきた。小泉さん再登板の可能性もささやかれている。小泉改革には光と影があり、その評価は影の部分が多い。小泉さんは「間違っていたごめんない。もう一度やらせて欲しい」と今はなき橋本さんの二の舞を演じるだろうか。
小泉さんにあり、福田さんにないものは「リーダーシップとパフォーマンス」。官僚の言うことを聞かず、自分の考えをどんどん推進する力である。しかしそれが国民を幸せにするとは限らない。劇場で政治劇を見ていた結果が、生活不安では「誰のための政治か」とあらためて問い直したい。
メディアも報道姿勢を変えなければ、国民を間違った方向に導くことになる。小泉さんが動けば、面白おかしくメディアは報道するがだまされてはいけない。自分の生活を見つめ直し誰に政治を託するか、真剣に考えなければならない。
テレビ報道によると、福田さんは洞爺湖サミット会場を訪れたとき、136万円の部屋に泊まったという。自民党ポスターで「暮らしに安心を」と訴える福田さんはこんなぜいたくをして「国民の生活」が分かるのかと疑いたくなる。税の無駄づかいが問題になっている今、用意した官僚に注意し、キャンセルさせる姿勢が欲しい。
結局、福田さんには援護できる何もなかった。
(記者:矢本 真人)
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