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2008年04月16日(水) 08時01分

中高生「学校裏サイト」 特定の個人を中傷 5割に「キモイ」「うざい」産経新聞

 ■“いじめの温床”書き込み経験14%

 中学高校の公式ホームページとは別に、生徒らが独自に情報交換の場として立ち上げた「学校裏サイト」(学校非公式サイト)のうち5割に「キモイ」「うざい」など個人を中傷する言葉が含まれていることが15日、文部科学省の委託調査(最終報告)で分かった。サイトに書き込む生徒は閲覧者の14%だけで、頻繁に書き込む一部の生徒が閲覧のみの生徒らに影響を与えている姿が浮かんだ。

 「裏サイト」はいじめの温床ともいわれ、文科省では「かなり深刻な状況だ。フィルタリングの普及やネットマナーの向上をはじめとした啓発活動を進めたい」としている。

 文科省は、学校裏サイトの全体像を把握するため民間コンサルティング会社に調査を委託。下田博次群馬大教授ら有識者や、NPO法人(特定非営利活動法人)「青少年メディア研究協会」の協力を得て今年1〜3月の状況を調べた。

 調査結果によると、確認できた学校裏サイトの総数は3万8260件で、全国の中学・高校の総数(1万6300校)の2倍以上にのぼった。このうち「2ちゃんねる」など巨大掲示板にスレッドとして掲載されたのが88%と圧倒的多数を占めた。中高生全体向けのサイトや、小人数の生徒が内輪で集まる「個人ホムペ」が5%ずつと続き、特定の学校の生徒向けに開設されたサイトは2%(858件)だった。

 今回の調査に会員限定の情報交換サイト「SNS」は含まれず、実際の総数はさらに膨らむ可能性があるが、サイトやスレッドは日々増減を続けており、実数は不透明だ。近年、急速に普及しているプロフ(自己紹介などを目的とした携帯電話用サイト)に利用者が流れている可能性もあるという。

 群馬、静岡、兵庫3県の裏サイトの書き込み内容約2000件を分析したところ、「キモイ」「うざい」など特定個人を中傷する言葉が含まれていたのは50%。性器などわいせつな用語が確認できるのが37%、「死ね」「殺す」など暴力を誘発する言葉が含まれるのが27%あった。

 この3県の中高生1522人に書面で活用方法などをアンケートしたところ、裏サイトを閲覧した経験がある生徒は23%だった。このうち、書き込んだことがあるのは14%で回答者全体の3%にとどまった。週に1回以上書き込むのは4割だった。閲覧の理由は「暇つぶし」が76%。積極的に情報交換する生徒は少なかった。検索サイトから興味本位にのぞいてみたものの、書き込まない受動的ユーザーが大半のようだ。

 下田教授は「サイトの半数は正常なコミュニケーションがなされているが、残りは野放し状態で注意すべきだ。日常生活における言葉遣いは教諭や親が指導できるが、ネットの場合は口汚い言葉でも気付かない」と指摘。その上で、「行政の対策には限界がある。パソコンや携帯を買い与える親は、子供と使い方を話し合うなど責任を持って教育すべきだ」と指摘している。

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