小諸市の宗教法人「紀元会」の会員で、すし店経営奥野元子さん(当時63歳)が集団リンチで死亡した事件で、傷害致死罪と犯人隠避罪に問われた夫、和宏被告(35)と、長女森久里子被告(38)の論告求刑が9日、長野地裁(土屋靖之裁判長)であった。検察側は「自らの宗教的幸福のみを考え、カルト教団の利益を優先させ、強く非難されるべきだ」として、懲役5年を求刑した。
検察側は、事件の首謀者を同会創設者の娘・窪田康子被告(50)(傷害致死罪などで起訴)とみており、論告で「犯行全体の動機は、窪田被告の暴力による教団支配にある」とし、「窪田被告の指示があれば、暴力を否定する紀元会の教えを簡単に踏みにじり、肉親の情より優先させた」と主張した。
一方、最終弁論で森被告の弁護側は、「暴行を収束させるために手を出したに過ぎず、すでに元子さんは生存していたかも疑わしい状態だった」などと、改めて傷害致死罪の成立を否認。和宏被告の弁護側も「宗教上の呪縛(じゅばく)があったためで、カルト教団に翻弄(ほんろう)された被害者だった」などと訴え、執行猶予付き判決を求めた。
また、弁護側は、両被告が窪田被告の指示で元子さんを自宅から連れてきた時点では、「高齢の元子さんに、激しい暴行が加えられるとは思わなかった」などと主張。両被告は被告人質問で、暴行に加わった理由を「自分がやらなければ、もっと暴行がひどくなると思った」などと述べた。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20080409-OYT8T00808.htm