2008年04月09日(水) 02時36分
<労働審判>校長にあいさつせず解雇された教諭が勝訴 山口(毎日新聞)
山口県周南市の私立山口県桜ケ丘高校の元男性教諭(48)が「校長にあいさつしなかったのを理由に解雇されたのは不当だ」として、山口地裁に起こした労働審判で勝訴。学校側は異議を申し立てて訴訟に移行したが、8日、職場復帰や未払い賃金を支払うとする和解案を元教諭側に提示した。元教諭は受け入れる意向で、16日にも和解が成立する。
訴えによると、元教諭は06年9月、始業前に学校の近くで生徒の交通誘導をしていた時、校長(当時)が車で通り過ぎたことに気付かなかった。すると、学校側から「あいさつをしなかった」として自宅待機を命じられた。約半年後、学校側に呼び出された際「校長の命令に従えるか」と問われ「不安がある」と答えたところ、再度自宅待機を命じられ、昨年7月に解雇されたという。
校長は運営する学校法人山口県桜ケ丘学園(山縣武哉理事長)の理事兼理事長代理。元教諭はかつて、校長が理事を務める市民団体への活動協力を拒否した経緯があった。
元教諭は昨年9月、解雇権の乱用で無効だとして同学園を相手取り、地位確認などの労働審判を申し立てた。山口地裁は3月、元教諭の訴えを認め、職場復帰などを言い渡したが、学園が異議を申し立てていた。校長は3月に高校の校長を退任し、現在は中学校長を務めている。
和解について元教諭は「長い間家族にもつらい思いをさせたのでこれで安心させられる。教壇に立つことが私の使命。学校の信頼回復のためにも頑張りたい」と話している。
また学校側は「もう一度チャンスを与えたいと考えた。校長も代わったし、これ以上、争うのもいかがなものかと和解を提示した」としている。【藤沢美由紀】
【ことば】◇労働審判制度
賃金不払いや解雇など労働に関するトラブルを解決するために06年4月、導入された。原則として3回以内の期日で調停を進めるため短期間で解決でき、申立人の負担を軽減できる。裁判官と雇用・労使関係に専門知識を持つ労使審判員の3者が合議で解決案を示す。司法制度改革の一環で、労働紛争を実情に即して迅速に処理できる仕組みが特徴とされる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080409-00000015-mai-soci