2008年04月07日(月) 12時55分
27万円車タタがジャガー買収 世界的業界再編の台風の目に(J-CASTニュース)
インドのタタ・モーターズの動きが急だ。米フォード・モーター傘下のジャガーとランドローバー(ともに英)を23億ドル(約2300億円)で買収することに合意したかとおもうと、今度は2008年夏に東証に上場するという。インドや中国といった新興国の自動車メーカーが急成長し、不振の米ビッグスリーを尻目に業界再編の主役に躍り出ようとする動きを象徴するものだ。新興メーカーは低価格を武器に攻勢を強める構えで、日本勢も対応を迫られそうだ。
■「旧宗主国の名門企業をまたのみ込んだ」
08年3月2日付の日経新聞や共同通信などは、タタが上場し、それに伴って日本市場で資金調達する、などと報じた。
タタは、インド最大の財閥タタグループの自動車会社。商用車の販売が中心だったが、1988年に乗用車市場に本格参入した。2006年の売上高は約7200億円。今年1月には、10万ルピー(約27万円)という超低価格の小型車「ナノ」を今秋に発売すると発表し、世界的に話題を呼んだ。
タタが買収を決めたジャガーは、英王室も購入している高級ブランド。米国でブランドが定着しているローバーとともに、米欧への市場参入へのテコにする狙いとみられている。昨年にはタタ財閥傘下のインド鉄鋼最大手タタ・スチールが、英蘭系の鉄鋼大手コーラスを買収した。このため、「英国の植民地だった国の企業が、旧宗主国の名門企業をまたのみ込んだ」との声が出ている。
一方、フォードは1989年にジャガー、2000年にローバーを買収し、ビッグスリー主導の業界再編の典型だった。だが、ガソリン価格高騰や低燃費の日本車のシェア拡大で販売不振に陥り、リストラの一環として、有力ブランドを手放す事態に追い込まれた。
中国の自動車大手も欧米メーカーの買収や提携に乗り出している。南京汽車(昨年末に上海汽車による吸収合併で合意)は2005年、経営破たんした英のMGローバーを買収した。また、奇瑞汽車は昨年7月、不振の米クライスラーに小型乗用車を供給することで合意した。クライスラーは低燃費の小型車が手薄で、販売回復のため、小型車が主力の奇瑞との提携に頼らざるを得ない状況となった。
■米欧大手との提携や買収は今後も増えそう
米国はサブプライムローン問題の影響で自動車市場が冷え込み、ビッグスリーの再建の道筋は見えていない。「新興メーカーが米欧大手に提携や買収を持ちかけるケースは今後も増える可能性が高い」との指摘もある。
新興メーカーは低価格を売り物に業績を伸ばしている。タタのほか、奇瑞も小型車は安い車種で3万元(約40万円)程度。奇瑞は現在の60万台程度の生産能力を10年までに100万台に増やす考えだ。
日本の自動車大手は、低燃費や安全技術が評価され、新興国で高級車を中心に販売を伸ばしてきた。ただ、日米での販売が足踏みする中、新興国での売り上げを伸ばすため、新興メーカーに対抗し、日産自動車は30万円程度、トヨタ自動車も100万円を切る車の投入を計画している。ただ、価格を下げて性能も落ちると、日本車への信頼が損なわれる恐れがあり、難しい判断を迫られている。
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