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2008年04月03日(木) 03時11分

退任直前、東和銀前頭取が家族に実家など贈与読売新聞

 金融庁から業務改善命令を受けた第二地銀「東和銀行」(前橋市)の増田煕男(ひろお)前頭取(70)が、過去最悪となる274億円の赤字決算を出して引責辞任する直前、自宅などの不動産を家族に贈与していたことがわかった。

 金融庁の検査中にもあたり、同行関係者は「賠償請求を恐れた資産隠しの可能性がある」と指摘。同行は、経営責任調査委員会の報告書に基づき、前頭取らに計約8000万円の損害賠償を求める方針だが、贈与契約の取り消しを求める訴訟も検討する。

 登記簿によると、贈与されたのは、自宅がある川崎市宮前区の土地(約190平方メートル)、建物(2階建て、延べ床面積約150平方メートル)と、実家がある群馬県沼田市の土地(約1400平方メートル)、建物(同、同約430平方メートル)。

 実家の土地と建物は昨年5月1日、前頭取から長女に、自宅の建物と土地(妻と共有)は翌2日、妻と二女にそれぞれ贈与されていた。取締役会で退任が決まったのは同月11日。所有権の移転が登記されたのは、自宅が同月7日、実家は7月24日だった。周辺の公示地価によると、自宅と実家の土地2筆の資産価値は計1億円相当とみられる。

 調査委は、前頭取と前常務について、債務超過状態の企業に約8000万円の不適切な追加融資をしていたと指摘している。

 増田前頭取は旧大蔵省OBで、現在、川崎市の自宅に住んでいる。読売新聞の取材に対し、「以前からの遺産計画を実行したもの」として資産隠しの意図を否定し、「詳細はプライバシーのため控えたい」と回答している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080402-OYT1T00819.htm