90年に札幌市西区の信用金庫職員生井宙恵(みちえ)さん(当時24)が殺害された事件をめぐり、指名手配されたものの時効が成立し、現在も行方がわからない男(39)に対し、生井さんの母澄子さん(71)らが約1億300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、札幌地裁であった。竹田光広裁判長は男の犯罪を認定し、約7500万円を遺族に支払うよう命じた。
生井さんは90年12月19日の未明、帰宅途中に首などを刺されて殺害されたとみられている。北海道警は現場近くの男を殺人容疑で指名手配。澄子さんは200万円の懸賞金をかけて情報を募ったが、05年12月に時効を迎えた。この間に夫もがんで亡くした澄子さんは「せめて公的に男の犯罪を認めてもらいたい」と民事訴訟に踏み切った。法廷で澄子さんは「犯人は時効で無罪放免かもしれないが、私たちの怒りや苦しみはどう鎮めればいいのか」と訴えた。裁判は被告不在のまま進み、原告側へ反論することなく結審した。
判決を受け、澄子さんは「母親としてできる限りのことをし、娘に対して少しは申し訳が立ちました」とコメントを出した。代理人の山田廣弁護士は「重大事件で時効があっていいものか。判決が制度の是非を議論する契機になればいい」と話した。 アサヒ・コムトップへ
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