靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」について、東京都内の映画館三館と大阪市内の一館が、四月十二日に予定していた上映を取りやめたことが三十一日、分かった。これで東京での上映予定はすべて中止となった。
上映を中止した銀座シネパトス(東京都中央区)を運営するヒューマックスシネマは「近隣の商業施設に迷惑を掛ける恐れがあるため」と説明している。
ほかに取りやめた映画館は、シネマート六本木(東京都港区)、Q—AXシネマ(同渋谷区)、シネマート心斎橋(大阪市中央区)。
同映画をめぐっては、自民党の一部議員が、文化庁の所管法人から助成金が出ていることを理由に「政治的に中立かどうか疑問がある」として、事前の試写会を要求。全国会議員向けの異例の試写会が開かれた。
関係者によると、その後一部の政治団体が上映中止を働き掛ける動きを見せていたという。
靖国は、日本在住の中国人李纓監督が、軍刀「靖国刀」を打ち続ける刀匠の思いや、終戦記念日の靖国神社の情景、戦時の映像を交えて構成。今年の香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。