ビデオカメラで撮影した映像を簡単にDVDにダビングできる専用機器「DVDライター」の市場にメーカー参入が相次いでいる。
パソコンなしでダビング可能日本ビクター、ソニー、松下電器産業に続き、3月にはキヤノンと東芝も新製品を投入した。ハードディスク(HDD)内蔵型ビデオカメラに収めた映像を、パソコンを介さずDVDに移すことができるとあって、特にパソコンが苦手な中高年層に好評だという。業界推計の出荷台数は2007年に約10万台と前年の3倍以上に伸び、08年も15万台程度に増えると見込まれている。(佐々木鮎彦)
新製品続々DVDライター市場を切り開いたのはビクターだ。2006年3月発売の「CU—VD10」は、自社のHDD内蔵型ビデオカメラにUSBケーブルで直接つなぎ、1時間分の映像を最短30分間でダビングできる。
DVDライターの登場前は、ビデオカメラをパソコンにつなぎ、ハードディスクに保存したデータを転送した後、パソコンソフトを使ってDVDにダビングする必要があった。
これに対し、DVDライターは、パソコンを介さずに、直接DVDにダビングできる。「パソコンが苦手な人も簡単に使える」(ビクターの広報担当)のが特徴で、購入者の中心は主婦や中高年層という。
ビクターは製品の小型化も進めた。08年1月に発売した「CU—VD3」は大きさがCDケース2枚分程度と、従来機種の約5分の1で、持ち運びが容易になった。
ビデオカメラ首位のソニーも07年8月、他社のビデオカメラで撮影した映像もダビングできる「VRD—MC5」を発売した。8ミリビデオテープやミニDVテープにも唯一、対応しており、ソニーは「昔撮ったテープをDVDにダビングしたい人にお薦め」と話す。
松下が07年12月に発売した「VW—BN1」は、ハイビジョン映像を6倍速で保存できるほか、パソコンの外付けDVD駆動装置としても使える。
今年3月にはキヤノンが14日、東芝が17日にそれぞれ新製品を発売した。
相乗効果にも期待メーカー各社がDVDライター市場に参入したのは、使いやすいDVDライターが普及すれば、減少が続くビデオカメラの販売回復にもつながる相乗効果への期待がある。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、ビデオカメラの国内出荷台数は03年をピークに減り続け、07年は前年比5・7%減の134万6000台にとどまった。
DVDライターの価格(メーカーの想定価格)は2万5000円前後から4万円弱。比較的、消費者に手が届きやすい価格帯とあって、大手量販店では「小型化が進めば旅先にも持っていけるため、さらに売れるだろう」(ヨドバシカメラ)との声も聞かれている。
DVDライターの主力商品 メーカー機種名店頭想定価格 日本ビクターCU−VD32万5000円前後ソニー VRD−MC53万円前後松下電器産業VW−BN1 2万5000円前後キヤノンDW−100 3万円前後東芝GSC−DW13万9800円