愛媛県宇和島市の市立宇和島病院で膀胱(ぼうこう)がんの手術を受けた男性(当時74)が多臓器不全で死亡したのは、執刀医の万波誠医師(67)=現・宇和島徳洲会病院泌尿器科部長=の手術ミスが原因だとして、妻ら遺族4人が万波医師と宇和島市に慰謝料など約5800万円を求めた訴訟の判決が19日、大阪地裁であった。大島真一裁判長は「手術時に誤って腸に穴を開け、腹膜炎を併発させて死に至った」と認め、万波医師と市に約3700万円を連帯して支払うよう命じた。
判決によると、高知県四万十市の男性は03年1月、膀胱がんで市立宇和島病院に入院し、万波医師から膀胱の摘出手術を受けた。だが、小腸の一部に癒着する症状が出て再手術を受けた後、腹膜炎を起こして同3月に多臓器不全で死亡した。
判決は、万波医師が再手術の際、癒着した小腸を指で元に戻そうとして、誤って穴を開けたと認定。「腸の状態を適切に判断していれば避けられた」とし、医師の注意義務に違反したと指摘した。
代理人弁護士によると、遺族は「有名な万波医師を頼って遠方から出向いたのに、いい加減な手術をされて許せない」と話しているという。
万波医師は04年、市立宇和島病院から宇和島徳洲会病院へ移った。06年、両病院で病気腎移植を手がけていたことが判明。厚生労働省は、病気腎移植で診療報酬を不正に請求したとして保険医登録を近く取り消す。 アサヒ・コムトップへ
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