スルガコーポレーション(横浜市)が所有していた都心のビルを巡る弁護士法違反事件で、同社は03年に不動産会社「光誉実業」(大阪市)にビルの立ち退き交渉を初めて依頼した際も、所有権が光誉に移ったと装う虚偽の売買契約書を作っていたことが警視庁の調べでわかった。光誉からの求めにスルガ社が応じたもので、その後の4物件も同様に売買を偽装していた。スルガ社が当初から光誉の違法性の強い交渉手法を認識していたと同庁はみている。
組織犯罪対策4課の調べでは、スルガ社は03年7月ごろ、渋谷区道玄坂の商業ビルを取得し、光誉の社長朝治博容疑者(59)に立ち退き交渉を依頼。光誉側は交渉をしやすくするため、ビルの所有権が光誉に移ったとする虚偽の売買契約書を作るようスルガ社に求め同社が応じたという。
作成された売買契約書には、売り主にスルガ社、買い主に光誉と、風間勇二容疑者(57)が社長を務める都内の住宅販売会社の代表者名と社印が押された。実際の所有者はスルガ社のままで、所有権移転の登記もされなかった。朝治容疑者らはこの契約書を入居者に示すなどして立ち退きを求めた。
スルガ社はその後、07年にかけ、千代田区の秀和紀尾井町TBRビルなど四つのビルで光誉に立ち退き交渉を依頼。いずれも虚偽の売買契約書などを作成した。
TBRビルを巡っては、虚偽の契約書を作る一方、実際の所有権はスルガ社にあることを確認する内容の文書をスルガ社と光誉側が交わしていたこともわかった。
スルガ社の岩田一雄会長(代表取締役社長を辞任)は4日の会見で、所有権移転の仮装を知っていたとし、「風間容疑者からの要請に応じた」と説明。部下から言われて決裁印を押したことを認めた。 アサヒ・コムトップへ
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