2008年03月05日(水) 16時28分
弁護士法違反 ビル地上げ、偽契約書で立ち退き交渉正当化(毎日新聞)
東証2部上場の不動産会社「スルガコーポレーション」(横浜市)が所有するテナントビルの地上げを急ぐため、偽の売買契約書を作成し、大阪市の建設会社「光誉実業」にビルを売却したように装っていたことが警視庁組織犯罪対策4課の調べで分かった。逮捕された光誉社長の朝治博容疑者(59)らの発案とみられ、社員らはこの契約書をもとに立ち退き交渉を強引に進めていた。組対4課は当事者以外の交渉を禁じている弁護士法違反(非弁護士活動)を隠ぺいする意図があったとみている。
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スルガ社の岩田一雄会長(69)は4日夜の会見で、偽の売買契約書について触れ「所有権を仮装していたことは知っていた」と認めたうえで、「部下から『問題ない』と言われ、決裁印を押した。内容は任せきりだった」と違法性の認識については否定した。スルガ社トップの関与が明らかになったのは初めて。
調べなどによると、光誉社員らは事件の舞台となった秀和紀尾井町TBRビル(東京都千代田区)などスルガ社が取得した都心ビルで、入居者に立ち退きを迫る際、「オーナーになった」と偽り、交渉にあたっていた。スルガ社側が作成した偽の契約書を示し、所有権の移転を信じ込ませていたという。弁護士法では、所有者か弁護士以外が賃借人と立ち退き交渉することを禁じている。
また、偽の契約書を作成する際には、光誉が後から勝手に所有権を主張しないよう、スルガ社に所有権があるとの確認書を交わす念の入れようだったという。実際には、光誉からスルガ社への資金の流れはなかった。
スルガ社は03年7月〜06年6月、TBRビルのほか渋谷区で3棟、港区で1棟の計5棟の地上げを光誉に依頼したが、いずれも偽の契約書と確認書を交わしていたという。
◇「スルガ」を捜索
組対4課は5日午前、スルガコーポレーションの本社(横浜市)と東京支店(東京都港区)を弁護士法違反(非弁護士活動)容疑で家宅捜索した。光誉実業(大阪市)に地上げを依頼した関係資料などは既に任意提出を受けており、捜索は約1時間で終了した。
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