イスラエル軍は１日から２日にかけて、パレスチナ自治区ガザへの激しい攻撃を続け、１日の死者は市民約３０人を含む６０人を超えた。００年にパレスチナ人の対イスラエル武力闘争（第２次インティファーダ）が始まって以来、１日の死者数としては最悪と見られる。２月２７日に悪化した紛争の死者は約１００人に上る。
イスラエル軍の空爆で地上階が破壊されたアタラ家（左）。右の後ろ姿はハマスの覆面戦闘員＝２日、ガザ市で
一方、イスラエル側では１日、ガザからのロケット弾攻撃により市民数人が負傷したほか、ガザでの戦闘で兵士２人が死亡した。
イスラエル軍は２日も空爆を続け、ガザ一帯に爆音がとどろいた。そのたびに負傷者を運ぶ救急車のサイレンが鳴り響いた。病院はイスラエルの境界封鎖で医薬品や医療器具、断続的な停電に備えた自家発電用燃料などが不足している。
今回の紛争激化は、２７日にイスラエル軍がガザを支配するイスラム過激派ハマスの戦闘員５人をミサイル攻撃で殺害、ハマスが報復としてロケット弾攻撃でイスラエル市民１人を殺害したのをきっかけに起きた。
ハマスはその後、従来より飛距離を伸ばしたロケット弾を使い、それまで集中的に狙っていた約２キロ先のスデロトに加えて約１０キロ先のアシュケロンに向けて撃ち始めた。これがイスラエル側の危機感をさらに高め、本格攻撃につながった。
イスラエル軍は攻撃目的をロケット弾発射の阻止としているが、１日からはガザ北部のジャバリヤ難民キャンプなどで住宅を無差別に攻撃したと非難されている。屋内にいた女性や子供の計１０人以上も犠牲になった模様だ。
昨年６月にガザ自治区がハマスに武力制圧された後、別の自治区ヨルダン川西岸だけを統治するパレスチナ自治政府のアッバス議長は１日、イスラエル軍の攻撃を非難した。議長はハマスに対してもロケット弾攻撃中止を呼びかけたが、ガザ住民の犠牲が続けばイスラエル非難をさらに強めざるをえないとみられる。米国の仲介で再開したイスラエルとの和平交渉の中断に追い込まれる事態にも発展しそうだ。 アサヒ・コムトップへ
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