2008年03月01日(土) 02時35分
<愛知県農林公社>県が損失補てんへ…税17億円投入(毎日新聞)
愛知県が出資する社団法人「愛知県農林公社」(名古屋市東区)が中核的農家の育成を進める目的で取得し売れ残った農地10.6ヘクタールの含み損が約22億6000万円に上ることが分かった。県は08年度から、公社が農家に売却した際の損失分を補てんする方針を決め、調査時点(06年2月)の時価を基に算定すれば、県の負担は最大で約17億円となる。事業見通しの甘さから、多額の税金が投入されることになった。
公社は、農地の利用、集積を進める「農地保有合理化」の事業主体として、金融機関からの借り入れで農地を購入し、農家に売却している。県や公社によると、公社が一般農家向けに売却するため購入した69筆10.6ヘクタールの簿価(購入価格と金利)は31億1207万円。ところが、公社が06年2月に市町村などを通じて実勢価格を調べたところ、8億4747万円に下落しており、含み損は22億6459万円に達した。
農地の大半は89〜94年に購入したが、一般農家向けに売れたのは、98年度の5筆0.245ヘクタールが最後。県は昨年7月になって、2013年度までにすべてを売却する経営改善計画を策定した。
公社には、基金などの蓄えがなく、その一方で今後返済が必要な金融機関からの借入金は30億円を超えており、簿価を大きく下回る実勢価格での農地の売却はできない。
このため、県は農林水産省が06年度に始めた、簿価と売却した額との差損の一部を補てんする補助制度(上限は簿価の18%)を活用した上で、残りの差損を全額補てんする方針を決定。08年度一般会計当初予算案には、売却のメドが立った農地1筆0.275ヘクタールの差損分である5518万円を販売促進費補助金として計上した。すべてが調査時点の実勢価格で売れた場合、県の補てん額は農水省の補助分を差し引いても約17億円に上る。【秋山信一】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080301-00000015-mai-soci