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2008年02月29日(金) 02時31分

<空港整備法改正案>投資促進を最優先毎日新聞

 政府が空港関連会社への外資規制導入を見送る方針を固めたのは、市場開放や対日投資促進に対する日本の姿勢に疑問符が付く事態を避けることを最優先させた結果といえる。国土交通省は今後、外資による持ち株比率が急増した場合、外国為替及び外国貿易法(外為法)などで個別に規制の網をかける方策などを検討する構えだが、政府の裁量に委ねることへの批判もあり、調整は難航しそうだ。

 ◇内外差別は少数派 

 主要国では、空港会社に政府が何らかの関与をしているケースが多い。ただ、政府などに過半数の株式保有を義務づけ、残りは誰でも保有できる「内外無差別」が一般的で、空港整備法改正による外資規制案のように投資家の国籍で保有割合を制限するのはタイ、豪州などにとどまる。

 今回の外資規制のきっかけは、豪投資銀行マッコーリーグループが羽田空港ターミナルビルを運営する日本空港ビルデングの株式を大量に買い増したことだった。既に上場している日本空港ビルに代わって国が買収防衛する構図となったため、外国人投資家には「差別的な対応」と映り、批判が噴出した。

 ◇安保配慮は必要

 東京証券取引所の売買の60%以上は外国人投資家が担う中、「外資規制は世界経済から日本が取り残されることを意味する」(中西文行・SMBCフレンド証券ストラテジスト)との声は多い。

 ただ、安全保障上の観点から、空港会社に対する政府関与は必要で、国交省は今後、外為法などによる規制の検討に入る。外為法は、原子力やエネルギーなど指定業種で外資による10%以上の株式取得について国の審査を義務づけており、同法を活用する場合は空港会社を指定業種に加えることになる。

 しかし、英ファンドによる電力卸大手Jパワー(電源開発)の株式買い増し計画では、現在審査中の経済産業省が買い増しを認めない場合、英ファンドは法廷闘争も辞さない姿勢で、「外為法による規制も十分とは言えない」(国交省幹部)との見方もある。【後藤逸郎、辻本貴洋】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080229-00000012-mai-bus_all