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2008年02月29日(金) 20時21分

<ネット名誉棄損>男性に無罪判決…新たな判断基準示す毎日新聞

 ラーメンチェーン経営会社を中傷する文章をインターネットのホームページ(HP)に掲載したとして、名誉棄損罪に問われた東京都の会社員、橋爪研吾被告(36)に対し、東京地裁は29日、無罪(求刑・罰金30万円)を言い渡した。波床(はとこ)昌則裁判長はネット上の文章が名誉棄損罪となる場合を限定的にとらえる新たな判断基準を示した上で「被告はネットの個人利用者として求められる水準の調査をしており、罪には問えない」と述べた。

 判決は、ネット上の表現で個人が名誉棄損罪に問われるのは「内容が真実でないと知りながら発信したか、個人利用者に要求される水準を満たす調査をせず、真実かどうか確かめないで発信した場合」との基準を示し、マスコミの報道や出版の場合よりも有罪認定のハードルを高く設定した。

 その理由として(1)マスコミと個人の関係とは異なり、ネット利用者は対等の地位で言論を応酬しあえる(2)個人利用者がネットに発信した情報の信頼性は低いと受け止められている−−などとネットの特性を挙げた。

 橋爪被告は02年10〜11月、HPに「経営会社はカルト団体が母体」などと記載したとして在宅起訴されていたが、判決は「記載は公益目的で、被告は会社登記簿や雑誌を資料にして関係者とメールをやり取りするなどの情報収集をしていた。被告は記載内容を真実と誤信していた」とした。一方で、メディア報道なら有罪となるケースとも指摘した。

 橋爪被告は判決後「これを判例にして表現の自由を確保してほしい」と喜びを語った。東京地検の渡辺恵一次席検事は「判決内容を子細に検討し、適切に対応したい」とのコメントを出した。【銭場裕司】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080229-00000120-mai-soci