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2008年02月27日(水) 12時57分

「百度」は日本の検索エンジン市場で二番手になりうるか?ダイヤモンド・オンライン

 「百度」の現時点でのトップページ。検索ワードやブログのランキングも表示されているが、良くも悪くもシンプルな印象である。

 中国のウェブ検索サービス「百度(Baidu)」が1月23日から本格的に日本版サービスを開始し、1ヵ月が過ぎた。百度は中国では最大手。中国の人口の多さもあってか、世界でもグーグルやヤフーに次ぐ市場シェアを誇っているという。

 百度の日本におけるβ版サービスは昨年から始まっていた。しかし、フィルタリング機能のゆるさから、「ある種の画像が検索しやすい」と一部では話題を呼んだものの、中国版では人気のMP3音楽ダウンロード機能などは、著作権を理由に用意されていない。現時点では、その知名度はいまだヤフーやグーグルに遠く及ばない。

 今回の本格的進出にあたっては、検索ウインドウだけではなく検索ワードのランキングなどの表示も開始した。将来はニュースやフリーメールなどのサービスを充実させ、ヤフーのようなポータルサイト化を目指すのだろう。

 しかし中国以外のほとんどの国々では、ヤフーやグーグル、あるいはその地域固有の大手サービス(日本ではミクシィや楽天など)で「まにあっています」というのが現状だ。もちろん百度としてもその辺の事情を考慮してはいる。複数のサイトを使用する人々にとっての「2番目の存在」という低めのハードルを設定し、長期戦でシェア拡大を狙うとのことだ。

 だが2番手戦略でも、やはり将来は楽観視できない。百度の長所は「日中の言語や文化は似ているから親しみやすい」「ダブルバイトである漢字の処理が優れている」「検索精度が高い」などの点にあるという。ならば、とっくに話題騒然となっていてもおかしくはないのだが……。

 さらに、どの「長所」にもツッコミどころが満載だ。いずれも漢字を使用するとはいえ、日中の言語はまったくの別物である。文化の共通点は確かにあるが、言語構造(文法)が「似ている」とまでいえるのかは疑問だ。ヤフーやグーグルの漢字処理や検索精度に、大きな不満を持つユーザーも少ないだろう。検索速度の速さも売りのようだが、体感スピードとしては、グーグルとの差は感じられない。しかも、本格的進出の話題も、ヤフー買収を巡る騒動にかき消されてしまった。

 いささか厳しい意見を述べてきたが、百度がいくつかの長所を持つことは確かなはず。中国製品に対する不信感が高まりを見せる昨今である。百度が良心的なサービスを展開し、そこそこの位置を占めるのは、中国のイメージアップにも繋がり歓迎すべきことかもしれない。しかし、先行サービスの存在を霞ませるほどのメリットがない限り、「2番目の存在」すら難しい。他と同じサービスを提供し、多少優れている程度では、ユーザーは飛びつかない。


(工藤渉)


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