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2008年02月27日(水) 16時10分

2度の裏切り 83歳女性泣く 虎の子20万円リフォーム詐欺産経新聞

 ■公判で弁済約束、行方くらます 大阪「身寄りなく親切に」

 大阪市旭区に住む身寄りのない高齢女性がリフォーム会社の元社員の男(60)に虎の子の貯金20万円をだまし取られた。男は昨年9月、府警旭署が逮捕。公判で女性に弁済を約束し、執行猶予付きの有罪判決を受けた。ところが、2万円を返済しただけで行方をくらました。男の国選弁護人だった弁護士は「私が関与できるのは公判が終わるまで。気の毒としかいいようがない…」。女性は「まさか2度も裏切られるなんて」と嘆いている。

 女性は村上米子さん(83)。子供はおらず、30年前に病気で夫をなくしてから1人暮らしを続けてきた。20万円は「もしものときのために」と、年金など毎月約6万円の生活費から少しずつ、2年近くかけて貯金したものだった。

 旭署の調べでは、大阪市登録のリフォーム会社に勤めていた男は平成18年11月末、飛び込み営業で村上さん宅を訪ねた。「ひざを痛めてかがむのがつらい」と話す村上さんに、市の助成制度を利用して、トイレを和式から洋式に改修する工事を勧めた。

 この制度は、介護保険で要支援と認定された高齢者に上限30万円まで自宅の改修工事費が助成される。市が工事を請け負った市の登録業者へ直接助成金を支払うため、利用者に直接負担が生じないのが特長という。

 男は申請手続きのために村上さんを区役所に車で送ったり、家主に改修工事の許可を取り付けたりして信用させたうえで、工事が終了した19年2月、「大工に支払う日当を立て替えてほしい。助成金が会社に振り込まれる1カ月後には返す」と持ちかけ、20万円をだまし取った。

 その後、会社側には約30万円が助成金として振り込まれたが、男は20万円を返さず、不審に思った村上さんが警察に相談、事件が発覚した。男はこのほかにも、70〜80歳代の女性5人から計約80万円を詐取し、酒やカラオケなど遊興費に充てたという。

 詐欺罪で起訴された男は昨年11月、大阪地裁で懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が確定。その後、国選弁護人が村上さん宅を訪れて2万円を渡し、毎月末に2万円ずつ返すと約束したが、男は行方不明になってしまった。

 村上さんは「身寄りがなく毎日を不安に過ごしていたので、親切に改修工事を勧めてくれた業者がありがたかった。2度も裏切られるとは思ってもみなかった」と話している。

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