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2008年02月27日(水) 14時42分

一美さん銃撃、27年前の目撃者「なぜ今、驚いた」読売新聞

事件当時の様子を語るアーサー・ニエトさん(ロサンゼルス郊外で)=金沢修撮影

 【ロサンゼルス=藤山純久】「白いバンが走り去った後、駐車場に男が1人倒れていた」——。

 27年前のロス疑惑「一美さん銃撃事件」で、現場から約250メートル離れたロサンゼルス市の水道電力局で事件を目撃した元技師が26日、読売新聞の取材に応じた。

 ロス市警は25日の記者会見で、現場に止まっていた車に関する目撃者の供述と元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(60)の供述の食い違いが、三浦元社長の容疑が浮上するきっかけとなったとしており、同市警は今後、目撃者の再聴取に踏み切る方針だ。

 取材に応じたのは、事件当時、水道電力局で電気施設の安全チェックを行う技師をしていたアーサー・ニエトさん(69)。1999年3月に引退し、現在はロサンゼルス市郊外で娘や孫と暮らしている。ニエトさんが事件の急展開を知ったのは三浦元社長の逮捕から3日たった25日。テレビで三浦元社長のニュースをみて、「なぜ今になって。何が起きたんだ?」と驚いたと話す。事件後、何度もロス市警やロサンゼルス郡検事局の聴取にも応じ、事件に関する当時の記事もスクラップしていたが、最近は事件のことを思い出すことも少なくなっていたという。

 事件が起きた81年11月18日、ニエトさんは8階にあるデスクで仕事をしていた。良く晴れた日だったと記憶している。ふと左の窓から外を眺めると、事件現場となった駐車場脇の路上に白いバンが停車しているのが見えた。「駐車場の車から何か盗んでいるのかもしれない」と気になって見ていたという。

 10分後、白いバンが立ち去った。すると、現場に数台駐車されていた車の間で男性が倒れているのが見えた。男性は車のドアに手をかけ、何とか立ち上がろうとしているように見えた。「ガラス越しだったので銃声などは聞こえず、(被害者の)女性の姿は見えなかった」ため、警察が来て初めて男女が撃たれたと知った。

 三浦元社長は銃撃事件直後、ロス市警などに、「緑の車に乗った2人組の男の強盗に襲われ、妻と私が撃たれた」と供述。しかし、ニエトさんら目撃者4人の証言などから、警察当局は白いバンが犯行車両の可能性が高いと断定し、銃撃事件の東京地裁判決などでもそう認定された。

 ニエトさんは「私は目撃者だ。捜査に協力し、裁判で証言するのが目撃者の義務」と捜査に全面的に協力する意向を明らかにした上で、こう語った。「あれが計画的な犯行だったのか、偶然の強盗だったのか、裁判や捜査を通じて真実を見極めてみたい」。

 一方、水道電力局8階で同様に事件を目撃したコーネリアス・ニーリーさんは26日、読売新聞の電話取材に対し、「27年前の事なので明確に覚えている訳ではない。情報が全くないので、(捜査への協力も含め)どうしていいかわからない」と戸惑った様子だった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080227-OYT1T00342.htm?from=navr