【ロサンゼルス＝飯田達人、藤山純久】１９８１年のロス疑惑「一美さん銃撃事件」で無罪が確定した元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者（６０）が米自治領サイパンで逮捕された事件で、ロサンゼルス市警は２５日午前（日本時間２６日）、市警本部で記者会見を開き、新証拠の有無について「それは問題ではない」と述べ、言及を避けた。
そのうえで、８８年の逮捕状が現在でも有効で新しい証拠がなくても起訴できるとの認識を示した。
記者会見に臨んだのは、同市警「未解決殺人事件捜査班」のリック・ジャクソン捜査官ら。同捜査官は今回の逮捕が８８年５月に取った殺人と共謀容疑での逮捕状に基づくものであると説明した。
また、逮捕のきっかけとなったのは、三浦元社長が「頻繁に海外へ渡航している（と分かった）ことだ」とし、「２、３年前から逮捕の機会をうかがっていた」と語った。
しかし、米連邦捜査局が「新証拠がある」としていることについては、「そういう報道を見たが、事件は８８年段階で収集した証拠に基づいて立件されている」とかわした。
また、実行犯や犯行状況などについても、「詳しい説明はできない」と言及を避けた。
今後の捜査については、「事件を新しい目で見つめ直し、多くの目撃者から再聴取していく」としたが、日本で実行役として起訴され、無罪が確定した男性については、取り調べる意向がないことを明らかにした。
同じ犯罪行為で重ねて刑事処罰を受けない「一事不再理」については、「この件では当てはまらない」とし、日本で無罪が確定しても、改めて刑事責任を問うことが可能と説明。「検事局などと協議を重ねた」と繰り返し、手続きの正当性を強調した。
◇
ロサンゼルス郡検事局は読売新聞の取材に対し、三浦元社長のロサンゼルスへの移送について、今後、州知事への申請を行い、承諾を得た上で米自治領サイパンに要請する必要があるとし、「６週間程度はかかる」との見通しを示した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080226-OYT1T00199.htm