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2008年02月25日(月) 14時41分

「公正な裁判を」と三浦元社長、サイパンの裁判所が退ける読売新聞

 【サイパン=稲垣収一、山下昌一】1981年のロス疑惑「一美さん銃撃事件」で無罪が確定した元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(60)が25日、拘置を決めるサイパン島での裁判に臨んだ。

 この事件では、東京高裁での無罪判決以来、約10年ぶりに法廷に立った三浦元社長。オレンジ色の容疑者用の服を着用し、保釈を訴えたが、裁判所はこれを退けた。

 三浦元社長が収容された留置所に隣接する北マリアナ上級裁判所。その2階の223号法廷で、拘置質問が行われた。約60席ある傍聴席には、最前列に三浦元社長の妻、良枝さんが座り、在サイパン出張駐在官事務所の吉田謙次副領事も傍聴。日本の報道陣なども加えて約40席が埋まった。

 法廷は、三浦元社長の隣に通訳の日本人男性が座る中で進められた。まず、裁判官が「弁護士を雇って保釈の申請手続きをしなさい」と促したが、三浦元社長は「私自身、収入がまったくない」と訴えた。裁判官が「奥さんの収入があるのでは」と尋ねると、三浦元社長は「妻は家を維持するので精いっぱいですから」と述べたあとで、「弁護士を雇うかどうか、今は判断できない」と話した。

 また、法廷で裁判官と検察側のやり取りが、通訳する時間もないまま進められたことについて、三浦元社長は「公正な裁判を求めるので、裁判官と検察官が話していることも通訳の機会を与えてほしい」と訴えたが、裁判官は「拘置所で電話を使う許可を得ているのだから、あとで通訳の人に(電話をして)聞いたらいい」と退け、保釈を許可しないことを告げた。法廷は約30分でいったん閉廷。良枝さんは報道陣の問いかけに応じなかった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080225-OYT1T00369.htm