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2008年02月25日(月) 18時19分

殴打事件共謀、突破口か 「犯罪に資する行為」中国新聞

 「一九八一年八月六日、元女優に妻殺害計画における役割や方法を指導」「八月十三日、金属のハンマーのような凶器を渡した」—。二十五日明らかになった三浦和義容疑者(60)の逮捕容疑の一つ「共謀」は、一美さん=当時(28)=殴打事件で有罪が確定した元女優と三浦容疑者とのやりとりを具体的に指摘した。ロス市警は、殴打事件での元女優との共謀を立件の突破口にしたい意図がうかがえる。

 米国の刑事法に詳しい藤本哲也中央大法学部教授(犯罪学)は「カリフォルニア州法では、犯罪の謀議が行われ、さらに犯罪の実行に資する何らかの行為が伴えば、実際に犯罪が行われなくても共謀罪が成り立つ」と説明。「何らかの行為」には、犯行現場の下見や凶器を渡したりすることなどが該当するという。

 容疑事実が指摘した行為はこれに当たるとみることが可能と思われる。

 ただ、これらは殴打事件についての行為で、肝心の銃撃事件でロス市警が容疑事実として指摘しているのは、ロサンゼルスのホテルに一美さんと投宿したり、保険金を受け取ったりと、公に知られた事実がほとんどだ。

 銃撃事件で日本の二審判決は、三浦容疑者の疑わしさをある程度認めつつも、共謀について「共犯者は全く解明されていない。三浦被告には共犯者を見つけ、謀議を完了する機会がなく、謀議の痕跡がなく、共犯者に報酬を支払った事実が全くない」と指摘している。これを超える立証を米捜査当局が成し遂げるには、完全に新しい材料が必要とみられる。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802250252.html