ロス銃撃・殴打事件で捜査の陣頭指揮を執っていた元警視庁捜査一課長の田宮栄一さんは、三浦容疑者逮捕の一報を聞き「『やったなあ』という感じでした。米国なりの執念があったんだと思った」としみじみ語った。
事件当時、警視庁刑事部参事官だった田宮さんは、逮捕時にはその指令を出した。当初、渋谷のフルハムロード(三浦容疑者が経営していた輸入雑貨店)で逮捕する予定だったが、メディア関係者がホテルに三浦容疑者を囲い込んだため、方針転換を余儀なくされたという。
「ほとんどの捜査員をフルハムロードに張り付けていたから、手持ちの兵隊はいなかった。そのため、本部にいた3、4人の捜査員に『お前ら行って、車の中に押し込んででも連れてこい』と命じました」
三浦容疑者の印象について、「“ぬえ”的な存在」と表現する田宮さん。「本当にぐにゃぐにゃしたわけのわからない男だった。取り調べの時もノラリクラリしていた」という。
銃撃事件では、1審は無期懲役だったものの、2審では逆転無罪に。田宮さんは「共犯者の解明が十分でなかった」と振り返り、悔しさをにじませた。
米国内での発生した事件に、捜査が思うように進まないこともあった。「当時、米国内で人種差別が完全になかったわけではなく、(被害者が東洋人だったため)米捜査当局の初動捜査が遅れた面はある」と指摘した。
今回の逮捕では新証拠があるとされるが、「新たに第三者の供述が出たか、または、事件発生当時はなかったDNA鑑定などを進めた結果、新証拠が出た可能性もある」と真相解明に期待を込めていた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080225-OHT1T00101.htm