1981年に米ロサンゼルスで起きた銃撃事件で妻を殺害したとして殺人と共謀の疑いで米自治領サイパン島で逮捕された会社役員の三浦和義容疑者(60)は24日、現地の収容施設で外務省当局者と面会した。その際「日本で無罪が確定したのに、どうして逮捕されたのか」と驚いた様子で「家族に会いたい」とも話したという。同容疑者は25日に弁護士を通じて自らの対応を発表するという。
衝撃の逮捕から一夜明け、現地の収容施設の三浦容疑者のもとに外務省サイパン出張駐在官の矢沢憲治領事ら3人が訪れ、約1時間面会した。
外務省によると、同容疑者が面会を求め「終わった事件で自分は無実だ。以前もサイパンに来ており、なぜ今なのか驚いた」などと不満を訴えた。健康状態は良好だが、持病の腰痛で持参したコルセットを使用。「明日(25日)、日本の弁護士を通じて自らの対応を発表する」と語ったが、日本政府への支援要請などはない。「家族に会いたい」とも話した。同行の妻は現地に滞在中だが、面会は認められておらず、外務省側が面会後に、電話で報告したという。
施設では電話の使用が認められており、逮捕後、日本にいる弘中惇一郎弁護士と十数回電話で打ち合わせ。弘中氏によると、24日午前に電話があり「自分はやっていない。新しい証拠などあるはずもない」と伝言された。逮捕当日はベッドもない房に入れられ、コンクリートの床の上に毛布もなく寝かされたという。
逮捕当時は感情をむきだしにした。サイパンの捜査当局者によると、三浦容疑者がサイパン国際空港に現れたのは22日午後3時ごろ。知人ら6、7人と行動をともにしており、ノースウエスト機で帰国する予定だった。
同容疑者が出国審査の手続きのためパスポートを出入国係官に示すと、係官は血相を変えた。逮捕状が出ているとのサインがコンピューターに出たためだ。警察を通じて直ちに検察官に連絡。ロサンゼルス市警から逮捕状を急きょファクスで取り寄せた検察官が駆け付け、三浦容疑者に逮捕状を突き付けた。執行されたのは88年に米司法当局が取った逮捕状だった。
「Why(なぜ)? 何が起こっているんだ」と驚きを隠せない三浦容疑者。「なぜ同じ容疑で逮捕されるのか」と納得がいかない様子で、午後6時すぎに逮捕されると、手錠を掛けられたことに怒りを見せ、乗せられた検察の車のドアを激しく叩いたという。
逮捕のきっかけとなった新証拠の具体的な内容は依然不明。三浦容疑者は今後、サイパンからロサンゼルス市警に移送される見通しだが、時期については未定。また25日にも裁判所に出向き、逮捕容疑などについて意見を述べる可能性があるという。
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