政府が検討を進めている消費者行政の一元化に関し、公正取引委員会が作成した独自案が23日、明らかになった。
悪質商法を含む消費者取引の全体にかかる規制を、公取委が一括して担当することが柱だ。公取委は消費者行政推進会議などで実現を要請する方針だが、関係省庁の反発が予想される。
公取委の案は、消費者からの相談・苦情窓口と、処分などの執行部門を一体化し、詐欺的な商法や悪質な勧誘、広告などの虚偽表示、不当な契約などの消費者取引に関する規制は、公取委が受け持つ。
消費者の取引や契約に関する所管官庁は現在、携帯電話は総務省、旅行や不動産は国土交通省などと「縦割り」になっている。また、内閣府が所管する消費者契約法には、行政処分の規定がなく、違法行為の被害者は民事訴訟で訴える仕組みだ。
公取委の権限は従来、談合やカルテルなど企業の不当行為に対する規制が中心で、消費者に関するルールでは、景品表示法に基づく広告や商品の不当表示などに限られていた。
これに対し、公取委は、悪質商法も含む消費者取引全体に規制権限を広げることで、「業種横断的な法適用が可能になる」と主張している。
海外では、米国の連邦取引委員会が虚偽広告や訪問販売、電話勧誘販売などの取引も規制しているほか、英国やカナダ、豪州、韓国などの競争政策当局も消費者取引の紛争処理などを受け持っている。
政府内では、消費者行政の一元化として、「消費者庁」を設置する案などが出ているが、権限が切り離される可能性がある関係省庁は反対しており、公取委案に対しても、反発は必至とみられる。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080224-OYT1T00106.htm