行方不明になっている清徳丸の吉清哲大さん(23)は「ホームレスの人々のために魚を役立てて欲しい」と年に数回、東京・上野でホームレス支援をしている「赤銀杏会(あかぎんなんかい)」に魚を届けていた。
同会の石崎克雄会長(61)によると、4年ほど前、哲大さんの仲間から「魚でも支援に役立つのかな?」と電話があった。「食べ物なら何でもありがたい」と歓迎すると、数日後に哲大さんたち3人が、トラックで30箱分のイワシやサバを持ってきてくれた。調理師の資格を持つ石崎さんがフライや煮魚にして、ホームレスの人たちに振る舞ったという。
その後も年に2、3回、魚を運んでくれた。哲大さんはいつも笑顔で、「父の後を継ぐ。大きい船を買いたいんだ」と夢を語っていた。石崎さんは自分の子どものように感じていたという。
炊き出しは1回に約3万円かかる。10年以上続けてきた会の活動を支えるカンパは年々減り、赤字が続く。「こういう時代だからこそ、哲のような若者がいてくれるのがうれしかったのに」
石崎さんが最後に哲大さんに会ったのは昨年5月ごろ。「お礼にいつか勝浦まで行きたいと思っていた。自衛隊はどうして助けてくれなかったのか。どうにか生きていて欲しい」と言葉を詰まらせた。 アサヒ・コムトップへ
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