東九州自動車道の椎田南(福岡県築上町)—宇佐(大分県宇佐市)間(28.3キロ)の整備計画をめぐり、福岡県豊前市のミカン農家、岡本栄一さん(62)ら沿線住民や地権者の計82人が22日、事業者の西日本高速道路や福岡、大分両県の土地開発公社に対し用地買収の交渉などをやめるよう求める仮処分を福岡地裁に申し立てた。岡本さんは「ルートを変更すれば工事費用が百数十億円抑えられる。高い道路をなぜ造るのか」と主張している。
仮処分の申し立て後、会見する高木弁護士と岡本さん(写真右から)ら申立人=22日午前10時19分、福岡市内で
「つなぎます東九州道」の表示が立つ建設予定地=22日、福岡県上毛町土佐井で
東九州道の計画ルート
同区間は99年に福岡、大分両県が都市計画を決定し、06年3月に国土交通省が事業認可した。事業費は約1030億円で、2016年度の完成を予定している。現在は沿線地域との設計協議が進んでいる。
申立書などによると、市街地や村落を通る現在のルートでは広範囲な盛り土や高架橋が必要になると指摘。全区間で山側に平均約1.5キロずらしたルートにすれば、高架橋などが減って費用が抑えられ、騒音や振動、大気汚染などの健康被害も少なくなると主張している。
申し立て後に会見した住民側代理人の高木健一弁護士は「住民の理解が得られず、環境に無頓着な計画のままでは納得できない」と述べ、「真に必要な道路なら、どこに建設すべきか、住民とよく議論して決めるべきだ」と指摘した。
西日本高速道路広報室は「事実確認ができていないので、コメントは差し控えたい」との談話を出した。
同区間の整備計画をめぐっては、岡本さんが06年9月、国を相手取り、西日本高速道路への事業認可取り消しを求める訴訟を福岡地裁に起こし、争っている。
東九州道は北九州市を起点に大分市、宮崎市を経由し、鹿児島市までの436キロ(九州縦貫自動車道などとの重複部分を除く)を結ぶ。06年度末時点の開通区間は全体の約33%に当たる145キロ。 アサヒ・コムトップへ
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