奈良県明日香村の古墳群からなる「国営飛鳥歴史公園」の防災工事で、入札参加業者間で談合があった疑いが強まり、大阪地検特捜部は18日にも、工事を受注した同県高取町の建設会社「槙峯建設」社長、槙峯和也容疑者(67)を競売入札妨害(談合)の疑いで再逮捕する方針を固めた。特捜部はすでに同公園事務所も家宅捜索しており、国土交通省の職員らからも事情を聴く。高取町発注工事をめぐる競売入札妨害事件は国営公園を舞台にした談合事件に発展する見通しとなった。
特捜部は17日、06年10月の高取町の道路工事入札で、非公開の約4億円の最低制限価格を槙峯社長に漏らしたとして、競売入札妨害(偽計)の罪で、前町長の筒井良盛容疑者(62)=業務上横領罪で起訴=を追起訴し、槙峯社長を起訴した。
調べによると、地元工事の「仕切り役」とされる槙峯社長は、国交省の「国営飛鳥歴史公園事務所」(明日香村)が05年7月に実施した公園防災工事の入札で、県内の入札参加業者9社と談合した疑いが持たれている。槙峯建設が非公表の予定価格より7万円安い5200万円(落札率99.86%)で受注した。
飛鳥歴史公園は高松塚、石舞台、キトラなどの古墳周辺5地区からなる。問題の工事は、蘇我蝦夷(そがのえみし)・入鹿(いるか)親子の邸宅があったとされる「甘樫丘(あまかしのおか)地区」の北側斜面で行われ、槙峯建設が受注後の06年1月に整備を終えている。公園事務所の担当者は「捜索は受けたが、どの工事に談合の疑いがあるのかなど詳細は分からない」と話している。
槙峯社長らが起訴された高取町の道路工事では、中堅ゼネコン「ピーエス三菱」(東京)が最低制限価格と同額で落札し、槙峯建設が1次下請けに入った。十数年前から、町の開発事業に絡んで槙峯社長から町側に計約20億円の提供があったとされ、前町長は「負い目があった」と供述しているという。