在沖縄米海兵隊員が女子中学生を暴行したとして逮捕された事件で、沖縄や東京の女性団体が抗議行動に立ち上がる。米兵による性犯罪が起きるたび、「ついてゆく方も悪い」などと被害女性に責任を転嫁し、根拠もなく中傷する物言いが繰り返されてきた。今回もインターネット上などで同様の現象がある。その風潮が変わらない限り被害はなくならない、との思いが集会に参加する女性たちにはある。
「危険な場所に出かけていくような行為は慎むべきだ」「うろうろしてたらアメジョと思われるだけ」。インターネットの掲示板には海兵隊員の逮捕直後に事件を語る投稿欄がいくつもできた。被害者や米兵と親しい女性たちに関するそんな書き込みであふれている。
「アメジョ」は、米兵と親しくする女性たちを快く思わない人たちが反感を込めて使う言葉だ。
「沖縄のことも被害者のことも何一つ知らない人たちが、被害者を中傷することだけは、絶対に阻止したい」
「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さん(67)はそんな思いも込め、19日に沖縄県北谷町で緊急女性集会を開く。
事件直後に出した抗議声明で、米側への要求の一番目に「被害少女への精神的ケア」を掲げた。「あなたは悪くない。痛みを共有しています」と少女に伝えたかった。
会を仲間とつくったのは、95年の米海兵隊員ら3人による少女暴行事件がきっかけだった。
数年前にあった米兵による暴行事件の公判を傍聴したときのことが忘れられない。証言台に立った被害女性に、米兵の弁護人が尋問した。「あなたはアメジョですか」。被害を訴えればこういう目に遭う、という見せしめだと感じた。
基地内に連れ込まれて乱暴された女性が、周囲の中傷に遭い、県警に出した被害届を取り下げたケースも見てきた。
今回、被害に遭ったのは14歳の中学生。日曜日の午後8時半、アイスクリーム店から友達と出てきたところを米兵に声をかけられた。店の場所は繁華街とはいえ、家族連れも出入りする商業施設。基地の集中する県中部の沖縄市では、市民の生活圏と米兵たちが余暇を過ごす場が重なっている。街に出れば米兵と行き会うのは日常のことだ。
県中部の高校2年の女子生徒(17)は「繁華街に出かけると、米兵にプリクラや携帯電話の番号を交換しようと話しかけられることも多い」と言う。米兵の友達もいるが、危険な目に遭ったことはない。「米兵の友達を作ることが悪いんじゃなくて、悪いのは性犯罪をする人でしょ?」
犯行現場近くに住む女子中学生(15)の門限は午後8時。でも、被害少女が「夜遊び」をしていたとは思わない。「米兵ってどんな人だろう。そう思ってついて行っただけなんじゃないかな」
女たちの会の高里さんは「沖縄の生活も知らずに『夜出歩く方が悪い』と非難していては、なぜ米兵の性犯罪がなくならないのか問題の本質を見誤る」と言う。高里さんらと連動し、東京でも19日、「アジア女性資料センター」など三つの女性団体が抗議デモをする。 アサヒ・コムトップへ
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