消費者を長時間拘束して言葉巧みに高額な商品を売りつける催眠商法などの悪質商法から消費者を守るため、国民生活審議会(首相の諮問機関)がまとめた、消費者保護策の答申素案が13日、明らかになった。
強引な訪問販売や誤解を招くセールスなどを取り締まる消費者契約法などの関連法に違反した業者から、不当に得た利益を没収し、被害者救済に役立てる制度の創設が柱だ。
同審議会では、福田首相が国民生活関連の法令や行政の総点検を全省庁に指示したことを受けて消費者保護策の検討を進めており、3月末までに答申をまとめ、首相に提出する考えだ。
現行の犯罪被害者支援制度では、振り込め詐欺などの被害者に対し、組織犯罪処罰法と犯罪被害者給付金支給法に基づき、犯人の収益を没収して支給する仕組みがある。ただ、刑事事件にならない場合、被害者は業者を相手に民事訴訟を起こして損害賠償を求める以外、被害回復が困難なのが実情だ。
悪質商法をめぐるトラブルでは、訴訟の費用や手間に比べて取り戻せる金額が小さいため、損害賠償請求を避ける被害者が多く、悪質業者の“やり得”となっている側面もある。利益没収制度がこうした犯罪の抑止効果を持つことも期待される。
答申素案は、消費者契約法などに違反した業者について、〈1〉組織犯罪処罰法と犯罪被害者給付金支給法の対象に含めるなど、広く消費者被害の救済に活用〈2〉政府が業者に対し、被害者への損害賠償を命令〈3〉被害者による民事訴訟を国が支援〈4〉一定の要件を満たした消費者団体が、被害者に代わって損害賠償請求を行う——の四つの被害者救済策を挙げた。
このほか、悪質業者に対し、会社法で定めた「解散命令」の積極的活用や、再犯歴のある個人には会社設立に関与する資格を停止する制度創設なども求めている。「親会社や株主に対する責任追及を可能にする方策を講ずる」ことも課題に挙げている。
米国では、連邦取引委員会(FTC)が被害者に代わって民事訴訟を起こして業者から制裁金を徴収し、被害者救済に活用することが可能で、政府は、こうした事例を参考にしながら今後一、二年かけて法整備を進める方針だ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080213-OYT1T00837.htm