IT関連会社「アイ・シー・エフ(ICF)」の不正な企業買収事件で、広告会社「大阪第一企画」を買収する際に発行された8億円相当のICFの新株が、ライブドア元取締役の榎本大輔氏(36)側に渡っていたことが大阪府警の調べでわかった。榎本氏側からはこの新株に相当する現金が、元暴力団幹部豊臣春国容疑者(57)=証券取引法違反容疑で逮捕=に支払われたという。府警は、複雑な株式交換は豊臣容疑者への利益提供が目的だったとみて榎本氏からも事情を聴く方針だ。
ICF株と大阪第一企画株の流れ
証券取引法違反容疑で逮捕され大阪府警に入るICF元社長の佐藤克容疑者=13日午後2時38分、大阪市中央区で
任意同行を求められ警察車両へ向かう豊臣春国容疑者=13日午前、大阪市天王寺区で
調べでは、ICFは04年12月に広告会社「大阪第一企画」の買収方針を発表し、2365株を新たに発行。05年2月、大阪第一企画の全1600株と交換し、買収を実行したと発表した。
しかし、両社間で実施されるはずの株式交換は、実際にはカリブ海・英領バージン諸島の「アルタリンク投資会社」とICFの間で行われた。大阪第一企画の株はあらかじめアルタリンク社が数千万円の安値で取得しており、ICF株の取得でアルタリンク社には一時的に巨額の利益がもたらされたことが判明している。
府警によると、アルタリンク社は榎本氏と関係が深く、アルタリンクからはICF株に相当する8億円が豊臣容疑者に支払われたことも確認されているという。
ICFは04年2月、豊臣容疑者が実質的に経営するパチンコ情報提供会社「梁山泊」グループから10億円で事業を受注したが、豊臣容疑者が仕事内容に不満を示し、「4億円しか払わない」と主張。残り6億円の支払いと引き換えに、ICF株を要求したという。
府警は、一連の株式交換は、こうした豊臣容疑者の要求に応えるための資金捻出(ねん・しゅつ)を目的に、ICF側が榎本氏の協力を得て行った可能性があるとみている。
http://www.asahi.com/national/update/0214/OSK200802130103.html