2008年02月14日(木) 08時01分
石橋産業事件 許永中、田中森一被告 上告棄却、実刑確定へ(産経新聞)
石油卸会社「石橋産業」をめぐる巨額手形詐欺事件で、詐欺罪などに問われた許永中被告(60)や元東京地検特捜部検事の弁護士、田中森一被告(64)ら4人の上告審で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は上告を棄却する決定をした。決定は12日付。これで、許被告を懲役6年、田中被告を懲役3年の実刑とした2審東京高裁判決が確定する。
許被告は平成17年、イトマン事件で懲役7年6月、罰金5億円が確定して服役中の身。田中被告は保釈中。田中被告は刑の確定後、収監されるとみられる。
石橋産業事件の1審東京地裁判決は、許被告を首謀者と指摘。「イトマン事件で保釈され、身を慎む立場にありながら、詐欺を実行した。規範意識の鈍磨は甚だしい」と述べ、懲役7年とした。
また、田中被告は「元特捜部検事の弁護士という肩書を利用した。田中被告なくして詐欺事件は不可能だった」と述べ、懲役4年とした。
一方、2審判決では、石橋産業に実損害がなかったことなどを考慮して減刑された。
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■特捜のエースから、闇社会の代理人に
田中森一被告は昨年、自伝を出版するなどマスコミで積極的に活動する一方、冤罪(えんざい)をテーマにしたシンポジウムにも参加し、一躍“時の人”となっていた。
田中被告は昭和18年、長崎県で生まれた。岡山大を卒業し、46年に検事に任官、大阪地検特捜部や東京地検特捜部では「特捜検察のエース」として活躍した。
だが、検事を辞職し、63年に大阪市内に事務所を開設して弁護士活動を開始した。
その後は日本最大の暴力団山口組の最高幹部やバブル紳士らの顧問弁護士を務めるなど、「闇社会の代理人」と呼ばれた。
上告中の昨年、27万部のベストセラーとなった『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』(幻冬舎)や、『検察を支配する「悪魔」』(講談社)などを相次いで出版。古巣の検察を厳しく批判していた。
また、「無罪でも有罪でも、決まれば弁護士バッジを返上する」と発言していた。
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