2008年02月13日(水) 12時46分
<診療報酬>政策誘導に限界(毎日新聞)
中央社会保険医療協議会(中医協)が13日に答申する08年度診療報酬改定は、勤務医の負担軽減につなげることを狙った項目が目白押しだ。産科、小児科など医師不足が際立つ分野への加算などが柱で、方向性には異論がない。ただ診療報酬による政策誘導には限界があり、効果の検証を確約せざるを得なかった。
今回、医師の技術料などが8年ぶりのプラス改定となったのは、関係者の間で医師不足への危機意識が共有されたことが大きい。プラス改定による1000億円強の新規財源すべてを勤務医対策に回すことは、開業医の影響が強い日本医師会も早くから認めた。
厚生労働省はさらに開業医の再診料カット分を勤務医に移すことを狙ったが、これには日医が組織をあげて反対し、結局断念。代わりに、アドバイス料である外来管理加算(520円)の適用要件を「5分以上の診療」に限るなどして開業医の収入を400億円強減らし、プラス改定分と合わせ勤務医対策に約1500億円を充てることになった。
厚労省は▽手術料アップなど(600億円)▽事務補助員配置(350億円)▽妊婦の救急搬送加算など(150億円)−−に使うといい、300床の病院なら年間5000万円の収入増と試算する。だが、1500億円は病院の年間総収入(約16兆円)の1%弱に過ぎない。また、病院の収入増が、どの程度、勤務医の収入増につながるかは不透明だ。国に報酬の使途を指図できる権限はなく、厚労省幹部も「そこに限界がある」と認める。【吉田啓志】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080213-00000060-mai-pol