【ソウル11日共同=角田卓士】ソウル中心部に位置し、韓国の国宝第一号として日本人観光客にもなじみの深い南大門(正式名・崇礼門)の木造の楼閣部分から十日夜、出火、炎上した。鎮火作業が難航する中、出火から約四時間後に楼閣の二階部分はほぼ崩壊、大量の瓦や木片が崩れ落ちた。火の勢いは収まらず、ほぼ完全に焼け落ちる可能性が強まっている。
韓国メディアによると、けが人などはないもよう。消防が広範囲の延焼を防ぐため門の屋根部分を解体する作業を行ったが間に合わず、MBCテレビは「初期消火作業が失敗した」と伝えた。
出火原因は不明だが、聯合ニュースによると、出火直前に買い物袋を持った不審な男が付近で目撃されており、放火の可能性もある。
YTNテレビによると、当初はライトアップ用設備の漏電が原因とみられていたが、消防が調べた結果、出火場所付近には電気関係の設備は見当たらないという。
楼閣部分から立ち上る大量の白煙で門周辺が覆われ、周囲の道路の一部が交通規制された。
南大門は朝鮮王朝時代の一三九八年に完成。改築や復元を経て国宝第一号に指定された。付近に大型市場などがあることから「東大門」などと並ぶソウルの観光名所となっている。二〇〇六年三月には一般人の立ち入りが禁じられていた門の通路が開放されたが、楼閣部分に近づくことは禁止されている。