警察や生協の検査で新たに見つかった農薬成分に汚染された中国製冷凍ギョーザ。いったんは店頭に並んだものなどだった。輸入元の「ジェイティフーズ」と輸入代行の「双日食料」、生協はそれぞれ3日夜、東京都内で緊急会見した。見通せない「毒物汚染」の広がりに、困惑を見せた。
冷凍ギョーザについて説明するJTの岩井睦雄食品事業本部長(右から2人目)。右は日野三代春JT執行役員、左は勝浦秀夫ジェイティフーズ社長=3日午後、東京都港区のJT本社で
東京・虎ノ門のJT本社で会見したジェイティフーズの勝浦秀夫社長と親会社JTの岩井睦雄食品事業本部長らは冒頭、「心よりおわび申し上げます」と10秒余り頭を下げた。
今回新たに毒物汚染がわかった商品は昨年12月27日、ジェイ社大阪支店に返却されてきた。いったん店頭に並んだが、外装がべたついていたためだ。外部に検査依頼したのは翌年1月9日。「東京の本社の品質管理に送った」「年末年始もあって」などと釈明した。
パッケージに付いていたのは、同社検査で脂肪酸エステルなどを含むものと判明したが、猛毒の有機リン系化合物とまでは突き止められなかった。「合成洗剤などに広く使われるもので、何らかの原因で付着した『油状の汚れ』と認識していた」と説明した。
同じ夜、東京・赤坂の双日食料本社で、武田浩文社長は悔やんだ。「問題のギョーザとの関連性を考えるべきだった。所有権を持つJTとも相談すべきだった」と硬い表情で話した。
新たに汚染が確認された6袋は、同社業務用冷凍庫に保管されていた。初めて問い合わせを受けたのは2月1日で東京都から。翌日には兵庫県警が取りにきたが、「(中毒と)関連があると思わなかった」と武田社長。
1月18日に届いた検査機関の分析に「リン」という言葉があったが、「毒性がある可能性は低い」「工業用の油と見られる」。以前に、社員がギョーザ5、6個を食べ、異常がなかったこともその理由に挙げた。
同社の基準による苦情のレベル判定で、「外装の汚れ」だけだと5段階で一番低い「レベル1」。武田社長もこの問題を把握していなかった。
一方、天洋食品へパッケージ2袋分を送って原因を問うたが、「包装工程に油は置いていない。箱詰め工程で一つずつ印字を確認し、外観検査をしている」と回答。工場段階での問題を否定してきたという。 アサヒ・コムトップへ
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