司法試験合格者を2010年までに年間3000人に増やす政府計画をめぐり、法務省が見直し方針を打ち出したのに続き、日本弁護士連合会も見直しに転じることが確実となった。8日に投開票される会長選に立候補している2人とも、弁護士の就職難などを理由に見直す立場を明確に打ち出したためで、法曹人口の増加にブレーキがかかる可能性が高まった。
4月からの会長を選ぶ選挙は、増員反対派の高山俊吉氏(東京弁護士会)と、政府計画に歩調を合わせてきた現執行部の流れをくむ宮崎誠氏(大阪弁護士会)の一騎打ち。2人が並んで討論する公聴会は、先月9日の公示後、全国10カ所で開かれてきた。
「3000人が多すぎるのは、誰の目にも明らか。今までの執行部は間違いだ。会長になったら激減させる」(高山氏)
「司法改革を推進しながら人口問題のひずみの解消を図ることが重要だ。今年9月の司法試験の合格発表までに、増員のスピードのスローダウンを提言していく」(宮崎氏)
公聴会最終日の2日、2人は東京・霞が関の弁護士会館に集まった約120人の弁護士らを前に、舌戦を繰り広げた。
年間合格者は何人が適切な規模なのか。「1000〜1500人」と明言した高山氏に対して、宮崎氏は「2010年までに提言する」と検討の必要性を強調した。
また、高山氏は、宮崎氏の見直し策を「最近になって言い出した」と主張。これに対し、宮崎氏は「これまでの執行部の意見を見直す大胆なものだ」と述べた。
2人とも法曹人口の増加を見直していく立場を鮮明にした形だが、日弁連の中には「拡大派」の弁護士たちもいるため、反発も予想される。
「3000人計画」は02年3月に閣議決定。日弁連も臨時総会で方針に賛成する決議をしたが、「弁護士の就職難が起きる」「質が低下する」などの理由で、一部の弁護士会が反対を表明していた。
一方、鳩山法相は先月25日の記者会見で「私は3000人では多すぎるという考えを持っている」と述べ、見直しを表明。法務省は3月までに検討組織を設ける予定だ。 アサヒ・コムトップへ
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