中国製の冷凍ギョーザに有機リン系農薬が混入された問題で31日、県内に混乱が広がった。保健所などには、不安にかられた県民から「健康被害」を訴える声が寄せられ、問題のギョーザを2万個以上販売していた「みやぎ生協」(仙台市)は回収作業に追われた。ほかに、ジェイティフーズ(JTF、東京)が扱う商品全般や、中国産食材全般の使用を控える動きも出ており、混乱は今後も続くとみられる。
■健康被害?
県内の各保健所などにはこの日、「問題のギョーザを食べたが、大丈夫だろうか」などの相談が計32件寄せられた。うち4件では「食べた後、胃の調子が悪くなった」「いつもより便がゆるくなった」などの具体的症状を訴えた。昨年11月、問題のギョーザを食べたという名取市の男性から「下痢や嘔吐(おうと)で医者にかかった。『何らかの菌が検出された』と言われた」との申し出もあったが、県ではいずれのケースも「症状や発症時期などから、有機リン系中毒とは関連が低いとみられる」としている。
■回収作業
問題のギョーザを会員向け宅配や店舗で販売していた「みやぎ生協」。各店舗には、「河北省食品輸出入集団天洋食品工場」(天洋食品)製品の回収を知らせる文書を張り出した。「コープ幸町店」(仙台市宮城野区)で買い物をしていた主婦(67)は「生協の冷凍食品は全部捨てた。心配なので、もう買わない」と不安そうに話した。
また、同生協では28〜30日、会員向けに785個を宅配していたため、この日は職員が会員宅を訪問して回収作業を行った。31日午後7時現在、704個を回収したという。
■学校給食
問題の冷凍食品は、学校給食でも使用されていた。蔵王町教委によると、同町内の小学校5校、中学校3校で昨年5月、JTFが自主回収を決めた冷凍食品を使用したが、健康被害はなかったという。
また、県教委によると、大河原町と登米市米山町の学校給食センターが、2月にJTFが自主回収を決めた冷凍食品を使うことを予定していたが、国内の業者が加工した食品に切り替えることを決めた。このほか、塩釜市教委ではJTFが扱う商品の使用見合わせを検討しているという。
■中国産避ける動き
中国産食材全般を避ける動きも広がっている。
30日から中国物産展を始めた、さくら野仙台店(同市青葉区)は「お客様に不安がある」との理由から、中国産の冷凍ギョーザをすべて撤去した。仙台赤十字病院(同市太白区)では、2月10日に使用予定の国産冷凍ギョーザに中国産ニンニクが含まれているとして、献立の変更を決めた。
ただ、県内の学校に食材を提供している県学校給食会は「安全を確認した中国産食材の使用は続ける。使わなければ、価格面で学校給食の運営が成り立たない」と話すなど、すべての中国産食材を避けるのは不可能との声も上がっている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20080201-OYT8T00167.htm