千葉・兵庫両県で有機リン系薬物が混入された中国製ギョーザを食べた計10人が下痢や嘔吐(おうと)などに見舞われた薬物中毒事件で、厚生労働省は31日、ギョーザを製造した中国の食品会社「天洋食品廠公司」から食品を輸入した19社に対し、消費者や店頭などから回収した製品に薬物混入がないかを検査するよう指示した。一方、中国当局は天洋食品への立ち入り検査の結果、現時点で混入が疑われる農薬は検出されていないと発表。近く日本に調査団を派遣する方針を示した。
厚生労働省は、ギョーザを食べた計10人が薬物中毒となり、うち3人が一時重体となったことを重く見て、農薬混入がどの程度広がっていたのかを明らかにし、原因特定につなげる狙いだ。薬物中毒を起こしたギョーザの輸入元であるジェイティフーズには、流通経路の追跡調査を指示した。
輸入業者19社がある東京都、兵庫県、愛知県、大阪府、大阪市、静岡市の6自治体を通じて、▽自主回収食品について農薬成分メタミドホスの自主検査▽検査結果の報告▽流通状況や健康被害の調査などをするよう求めた。事業者から自治体への報告内容は、厚労省にも報告を求めている。
厚労省によると、19社は07年1月から今年1月30日にかけ、天洋食品から計3845トンを輸入。現在は順次自主回収している。
千葉県警は31日、千葉市の母子2人が中毒症状を訴えたケースで、母親が口から吐き出したギョーザから、メタミドホスが検出されたと発表。これでメタミドホスが確認されたのは冷凍ギョーザの3例になった。自主回収した製品の検査で、農薬汚染がギョーザ以外に及んでいないかも調べる。
実際の検査は抜き取り検査になるとみられるが、汚染の広がりを確認できれば、製造から販売までどの段階で農薬が混入したかを推定できる可能性があるという。
厚労省の江利川毅事務次官は31日の記者会見で「原因がきちんと究明されないと対策も決まらない。輸入業者や警察、中国などから多角的に情報を集めたい」と述べた。 アサヒ・コムトップへ
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