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2008年02月01日(金) 12時50分

県、報告義務違反か ギョーザ中毒で厚労相が見解朝日新聞

 中国製の冷凍ギョーザを食べた10人が下痢や嘔吐(おうと)に見舞われた薬物中毒事件で、舛添厚生労働相は1日の閣議後の記者会見で、発生を把握した兵庫、千葉両県が厚生労働省に情報を直ちに報告しなかったのは、食品衛生法に基づく報告義務に違反していた疑いがあるとの見解を示した。同省は同日、報告義務の厳守を求める通知を都道府県などに出した。

 舛添氏は会見で、両県の一連の対応について「輸入食品が原因の疑いがあれば、厚労省に報告しなければならない。食品衛生法が必ずしもきちんと順守されていなかった」との見解を示した。

 兵庫県高砂市で1月5日、千葉県市川市で22日に発生した薬物中毒について、兵庫、千葉両県はいずれも翌日に把握したが、厚労省には報告しなかった。両県は、ギョーザを輸入したジェイティフーズの本社がある東京都に知らせたため、都が29日に初めて厚労省に報告した。

 食品衛生法の施行規則では、都道府県などが厚労省にただちに食中毒の発生を報告しなければならない基準として、「輸入食品に起因し、または起因すると疑われるとき」を含めている。厚労省は、両県が把握した事例はいずれもこの条件に該当し、報告義務に反するとみている。

 厚労省は当初、両県の報告の遅れについて「捜査を優先したためで、やむを得なかった」としていた。この点について、厚労省監視安全課は「捜査優先の判断は誤りとは言い切れない。だが、自治体間で重要な書類が届かないなど不備が続いたことを重くみて、犯罪性の有無にかかわらず国に一報を入れることを徹底することにした」と説明している。

 また、舛添氏は、食中毒に関する厚労省への報告義務基準について、輸入食品起因のほかに、患者が50人以上発生▽死者が発生——などとしている現行基準を改めて、報告すべき事案を広げる考えを示した。

 一方、千葉県は、1月22日に健康被害にあった家庭から、「生協で買ったギョーザを食べた」と聞いていたが、県警が該当の食品を押収していたため、県としては輸入品かどうかは分からなかった、としている。

 兵庫県は、被害家族の入院先から「有機リン系中毒の疑い」と連絡があったため食中毒かどうか判断できず、警察による捜査を優先させるべきだとの方向に傾いたという。県警から農薬成分が検出されたと報告があった29日に厚労省に届け出た。県の担当者は「遅いといわれればその通りかもしれないが、この日以前の報告は無理だったと思う」と話している。 アサヒ・コムトップへ

http://www.asahi.com/national/update/0201/TKY200802010129.html