記事登録
2008年02月01日(金) 14時25分

餃子ショック、街の中華料理店も直撃「おたくは中国産?」産経新聞

 「国産に変えたいが、値上げもできない…」。中国製ギョーザ中毒事件の余波は、街の中華料理店にも直撃している。折からの原油高騰で、野菜や調味料などの仕入れ値は値上がりする一方。これに加え、「中華は危ない」という風評が一人歩きする。回収商品を扱っていた業者も対応に追われ、「損失は計り知れない」と戸惑う。広がり続ける「ギョーザショック」。「食べなければいい」「使わなければいい」では済まされない。

【写真特集】「毒ギョーザ」

 ■「おたくは中国産?」

 大阪市福島区の中華料理店「醤じゃん」の宮崎達朗店長(34)は、「今回の騒ぎで中華料理そのものが敬遠されてしまわないか心配」と話す。同店のメニューはすべて手作りで冷凍食品は使っていないが、「お客さんには、きちんと安全性を説明したい」。
 大阪府豊中市の中華料理店の店長(36)も「店を予約している団体客から『おたくは中国産を使ってますか』という問い合わせが多い」と話す。
 中国産のシイタケやネギを使う大阪市平野区の中華料理店では、昨年から続く原油や小麦価格の高騰で、1月から定食などを値上げしたばかり。店長の男性(37)は「安全面を考えれば国産に換えたいが、これ以上の値上げは難しい。お客さんの反応を見て決めたい」と不安げに話した。

 ■行列のできる店も

 「餃子(ぎようざ)の街」として売り出している宇都宮市。市内のギョーザ店が加盟する「宇都宮餃子会」は、加盟店60店舗に中国産の野菜や肉、加工品の使用の有無について緊急調査を始めた。
 平日でも行列ができることで知られる餃子専門店「みんみん本店」では「いくらか暇なようです」。冷凍ギョーザを贈答用に宅配で販売している専門店も多いが、ある専門店の店主は「ニュースであれだけ騒がれたら、ギョーザを贈ろうと考える人はいないでしょう」。
 別の店の従業員は「うちはすべての材料は国産。問題はないです」と話すが、関係者によると、キャベツやニラなどの野菜は国産でまかなえるものの、ショウガやニンニクは国産が品薄で高価なため中国産を使っている店もあるという。中国産のショウガを使用していると明かした専門店主は「心配なので、今後は国産に切り替えたい」と話した。

 ■20トンの在庫

 問題となった中国・河北省の「天洋食品」からギョーザ以外の食品を輸入していた企業と、その商品を扱った業者も回収などの対応に追われている。
 業務用食品卸売の東亜商事(東京)はジャパンフード(同)が輸入したソーセージを昨年4月から各地の問屋に卸していた。問屋は食堂やレストラン、カラオケ店などに販売しているという。
 「うちは営業の職員が問屋を訪ね、目の前でソーセージを温めて『ほら、おいしいでしょう』と一緒に食べる地道な販売方法をしている」と担当者。「もし品質に問題があれば、職員自身に症状が出るはずだが、そんなことはなかった。安全に万全を期すため回収しているが…」と複雑な表情を浮かべた。
 輸入元のインターグローバル(大阪市)は牛すじ肉などを扱い、在庫が20トンほどあるため「大きな損失が出る」。別の輸入元会社では事務職員が「問題があるのはギョーザだけなのか、うちで仕入れているものも駄目なのか…。今後会社がどうなるか不安でいっぱい」と心配そうに話した。

【関連記事】
兵庫の毒ギョーザのパッケージに小さな穴
家族内のトラブル疑っていた 毒ギョーザで兵庫県
「死ぬかと思った」 毒ギョーザ食べた人、入院中も手足に震え
記者も食べていた! 毒ギョーザに強い憤り
「独裁国家なんだからしっかりしろ」石原知事、毒餃子で苦言

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080201-00000930-san-soci