「ギョーザの街」を看板に掲げる宇都宮と浜松、そして横浜の中華街が、中国製冷凍ギョーザによる中毒問題に揺れている。ほとんどの店は国産品だけを原材料に使っているというが、気がかりなのは風評被害。食材の産地を緊急に調べたりホームページで訴えたり、消費者の安心への取り組みを急いでいる。
ギョーザ専門店の店内には安全性を訴える張り紙が掲示された=1月31日午後、宇都宮市内で
名物のギョーザで街おこしをしている宇都宮市。同市を中心に十数店舗を展開する「宇都宮餃子(ギョーザ)館」には、心配した客からの問い合わせが1月31日だけで20件ほどあったという。
市内のある店では30日夕、事件のニュースが店内のテレビで流れると、店にいた客が一斉にはしを止めたという。店員は「『うちは大丈夫』と説明するのが大変だった」。店内3カ所に安全性を訴える張り紙をした。
54社が加盟する「宇都宮餃子会」では中国産を使っているかどうか緊急調査をした。2月1日昼までの43社からの回答では中国産ギョーザの使用はなかったが、22社がニンニクやショウガなど中国産香辛料を用いることがあるとし、2社が中国産ニラを使うこともあった。同会は2社に「国内産への切り替えを要請したい」とする。
1世帯のギョーザ支出額が全国一として「ギョーザ日本一」宣言をした浜松市。ギョーザ愛好家らでつくる浜松餃子学会は1日夜、緊急理事会で対応を協議する。風評被害が広がらないようホームページに店主の顔写真とギョーザの原材料を載せ、安全をPRする考えだ。山田晃通副会長(35)は「『ギョーザは危険』とのレッテル張りが心配。顔が見えれば客が安心すると思う」。
創業45年のギョーザの老舗(しにせ)「むつぎく」3代目の近藤孝弘さん(38)は「野菜も肉も材料はすべて国産で、安全性には自信がある。でも風評被害は気がかり」と不安をのぞかせる。
200店以上の飲食店が集まる横浜市の横浜中華街でも関係者が頭を悩ませる。関係者によると、商店会組織「横浜中華街発展会協同組合」には苦情や問い合わせの電話が続いているという。
老舗中華料理店「聘珍楼(へいちんろう)」本社には「ギョーザを贈り物にしたが大丈夫か」といった問い合わせが相次いだため、店頭販売のケースの上に「すべての点心は国内で製造しています」と張り紙を出した。
林康弘社長は「日本の素材を大事に一生懸命つくっている中華料理と、危険な輸入食品とをきちんと区別し、風評被害に振り回されないためにも水際の検査体制を早急に整えるべきだ」と話した。 アサヒ・コムトップへ
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