中国製冷凍ギョーザの農薬混入事件は発覚から一夜明けた31日、全国各地の保健所などに被害の届け出が相次ぎ、体調不良を訴えた人は10道府県計14人に上った。また、マルハと日本ハムは問題を起こした中国の「天洋食品」で製造された原料を使っていたとして、レトルト食品などの自主回収を発表。いずれも健康被害は発生していないという。
大阪府食の安全推進課によると、藤井寺市の女性(27)が問題のギョーザを食べて腹痛や下痢の症状を訴えた。女性は快方に向かっているという。
兵庫県尼崎市保健所には31日、家族4人でギョーザを食べ、下痢や嘔吐(おうと)などの症状が出たという届け出があった。市保健所によると、この家族は今月15日の夕食でギョーザを食べたところ、うち3人が下痢や嘔吐などの体調不良を訴えたという。
また京都市生活衛生課によると、30日午後9時20分ごろに同市伏見区の男性(24)が「吐き気をもよおしている」と119番して救急搬送されたが、すでに回復しているという。
ほかにも愛知県常滑市では男児(2)が中国製ギョーザを食べて一時体調を崩した。また福岡市と沖縄県でもギョーザを食べた後体調が悪くなったとの届け出がそれぞれ1件あったという。
また、食中毒症状を訴えた兵庫県高砂市の一家3人のうち2人の胃を洗浄した際の洗浄液から、有機リン系の農薬「メタミドホス」の成分が検出されていたことが県警捜査1課の調べで判明。2人が食べたギョーザにもメタミドホスが含まれていた可能性が高いという。30日の時点では、ギョーザのパッケージの内側からのみ農薬成分が検出されたとみられていた。
一方、マルハが回収するのはレトルト食品「金のどんぶり お手軽一品!牛丼 110g」と「金のどんぶり 牛たま丼 180g」。天洋食品で製造された牛肉を、商社の松田産業(東京)を通じて購入し、国内でレトルト食品に加工している。
日本ハムは業務用に販売しているソーセージと豚バラぐしの回収を開始。対象となるソーセージ月約3トン、豚バラぐし月約1トンを卸売業者に販売していた。