動画ポータルサイトに、新星が登場した。ニューヨークに本部を置く「WeShow」(*1)だ。2007年初夏から米国、イギリス、フランス、ブラジルなどで順次スタート、アジアでは日本が最初のサービス開始となる。来日中のマルコス・ヴェトライヒ社長に話を聞いた。
——いわゆる動画共有サイトとは一味違うようですが。
「例えばYouTubeですが、1日に何時間もの自由時間がある学生さんならともかく、忙しい日本の会社員の皆さんは、流れているビデオの洪水の中から、本当に自分の趣味に合ったエンターテインメントとしての動画をどうやって選択しますか? 我々は、世界中の動画共有サイトで日々流れている数えきれない本数の中から、専門スタッフ、つまり人間の手によって良質なものを抽出して、ユーザーの皆さんにお届けしているのです」
——日本版では欧米でのサービスと違う部分もあるのですか?
「その国々で動画に対する嗜好は違います。例えば、誰もが動画共有の本場だと思っている米国で調査したところ、ユーザー中6割もの人があまりに多い動画の“来襲”に恐れをなし、うち46%の人は、自分の好きな動画に行き当たる前に探すのをあきらめてしまう、というのです。日本版開始にあたって、スポーツ、ファッション、音楽など、各国共通のカテゴリーのほか、相撲やコント、漫才といった日本独特の分野も取り入れ、168のカテゴリーでスタートしました。ユーザーの利便性や多様な趣味を考えれば、すぐに200カテゴリーに達するでしょう。
これを見てください(と言ってフランス版を表示)。フランスでグルメのカテゴリーには『ワインとスピリッツ』欄がありますね。これが米国ではただの『ドリンク』です。ブラジル版には『サンバ』があり、イギリス版には『クリケット』。こうしたお国柄を見ているだけでも楽しいと思いませんか」
——具体的な動画の選択方法は?
「毎日、専門のスタッフが世界中で流される動画のチェックを行います。日本人の嗜好を考えながら日本語のタイトルを付け、内容を短く解説、キーワードでタグ付けをします。まさに編集者の仕事と同じですね。この作業により、たとえ言葉がわからなくても、皆さんは世界中の良質な動画へのアクセスが可能になるわけです。始終パソコンに向かう時間がないという方々には、キーワードをいただければ、こちらでベストチョイス動画を探し、ニュースレターでお知らせします。『いつでも、どこでも、好きな動画を簡単に』が我々のモットーなのです。そして動画を通じて西と東の新時代の文化の懸け橋となるのが目標です」
——著作権の問題は?
「基本的には、その問題をクリアした動画を提供しているつもりです。複雑な権利関係もあるでしょうが、順次解決していきます」
——ビジネスモデルとしては?
「サイトを見ていただければわかりますが、広告がメーンになります。提供する動画が細かくセグメント化されていますから、広告主がメッセージを届けたい消費者に直接訴えかける広告を掲出できる、というのが売りですね。毎月いい作品を表彰したり、好みの動画をまとめてトップ画面に表示するウィジェットも無料提供します、面白いですよ。ぜひご覧になってみてください」。(編集部・飯村毅/2007年12月22日発売「YOMIURI PC」2008年2月号から)
注1 WeShow(ウィショー)日本版のURLは、http://www.weshow.jp/